4月13日午前7時38分55秒に発射された北朝鮮ミサイル。韓国では7時57分に発射の速報が報じられたにもかかわらず、日本政府は8時3分に「発射を確認していない」と発表。その後、その理由を「日本からは地球の丸みの関係でミサイルがレーダーに映らなかったため」と説明した。そんな日本政府にジャーナリストの辛坊治郎氏は、政府の準備不足を指摘する。

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 最大の問題はイージス艦の配置だ。少なくとも東シナ海の1隻を黄海寄りに配備しておけば、全く探知できないなどという事態は起こりえなかったはずだ。また日本海のイージス艦が本当に、韓国西岸上空150キロのミサイルを捉えることが不可能だったかの検証も怠るべきではない。

 政府をこう言っている。

「発射直後の情報は米軍から手に入れ、日本上空についてのみ、日本のイージス艦が対処することになっていた」

 確かに防衛省は今回、発射直後の飛行ルートについて米軍から情報があったようだが、陸海空自衛隊の最高指揮官である総理大臣に、その情報は瞬時に届いていたのか?

 疑問はまだまだある。航空機による警戒網はどうなっていたのか? 日米の情報共有は、日本の貢献にふさわしい程度に行われていたのか? 発射の時期も場所も明らかだったミサイルでさえ「地球が丸いから感知できなかった」のに、実戦のミサイルを捕捉できるのか? 隣国の国民がテレビで真実を知っている時に、その情報を「確認していない」と発表する政府を信用できるのか?

週刊朝日 2012年5月4・11日合併号