医学部合格校の常連ではない、それも商業高校から合格者を2年連続で輩出した高校がある。香川県の高松商業高校だ。進路指導教諭に学校の特色について聞いてみた。
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 今年の医学部の合格状況は、西日本の名門私立が相変わらずの強さを見せた。全国の医学部に毎年多くの合格者を出す東海(愛知)、ラ・サール(鹿児島)、洛南(京都)、灘(兵庫)、東大寺学園(奈良)の5強が上位を占めた。
 東海は国公立大医学部の合格者総数で、本誌調査では5年連続の首位である。同校学習指導部長の内藤俊一教諭は「医学部受験の対策どころか、特別な指導は一切していない」と話す。元々、親が医師であるなどの理由で、医学部を目指す生徒が多い。「医学部以外の選択肢もある」と思うこともあるというが、志望について指示することはまったくないという。
 とはいえ、毎年多数の合格者を出しているが、その背景についてこう話す。
「本校の生徒は、浪人を恐れずに高い目標に向かっていく傾向があります。また、中学3年のときに、自分の進路について卒業リポートをまとめます。実際に仕事をしている人に質問し、将来像を具体化させることで、目標が明確になるようです。身近な医師である親に聞いてくる生徒も多いです」(内藤教諭)
 一方、医学部合格校の常連ではない、それも商業高校から合格者を2年連続で輩出する高校がある。香川県の高松商だ。香川大学医学部に、今年は浪人生1人、昨年は現役1人が合格している。進路指導主事の道久和紀教諭はこう話す。
「本校は就職も進学もできるとアピールしていますが、昔から4年制大学への進学率は高かったのです。学科別にいえば、実践的な英語教育に注力する英語実務科(1クラス)は75%(過去4年の現役のみの平均)の生徒が進学します。6クラスある商業科でも約半数強(同)の生徒がやはり4年制大学に進学します」
 1900年創立の伝統ある高校だが、同校の資料によると、52年には東大合格者がおり、60年代後半ごろには全国の商業高校で国公立大学進学率が日本一になったこともあるという。

※週刊朝日

 2012年4月27日号