携帯電話といえばスマートフォン(スマホ)という時代、私たちの個人情報は本当に守られているのだろうか。利用者がスマホにアプリを入れると、それぞれのアプリ開発会社や管理者にも個人情報が流れている。漏洩の防ぎ方を考えてみた。

 いずれのアプリ開発会社も管理者も情報管理には万全の措置を講じていると強調する。ただ、2011年9月に通信販売大手セシールで、委託会社の関係者から3万5千件の顧客情報の流出が発覚するなど、管理に力を注いでも、100%安全だと言い切るのは難しい。ITセキュリティーに詳しい三上洋氏もこう指摘する。

「サーバー内だけで情報を管理している場合でも、かかわっている人間はいます。その中に悪意がある人がいれば、情報が持ち出される恐れがあります」

 となると、スマホを利用する一人ひとりが危険性を認識し、少しでも流出の可能性を減らすしかない。ITライターの武者良太氏は、そのための第一歩として、スマホに搭載された不要な機能をカットすることを勧める。

「たとえば、GPS機能は常に必要ではないので、位置情報を知られたくないときは機能をオフにしたほうがいいでしょう。Wi-Fiの自動接続をオンにしていると、誰でも利用できるWi-Fiに接続してしまい、侵入されて個人情報が奪われる恐れがあります」

 一方、三上氏は、提供してもいいと考える個人情報の範囲を見極め、自らコントロールすることが大切だと指摘する。

「面倒でも、アプリを入れる際の同意項目などはきちんと目を通し、どのような個人情報を提供することになるのかを把握すべきです。ユーザー登録を求められた場合も、入力せずに先に進んでみて、必須だと指摘された項目だけを入力すれば、最低限の情報を伝えるだけで利用できます」

 通常のアプリを装い、個人情報を入手しようとする不正なアプリもある。

 グーグルの広報担当者によると、プレイストアで提供するアプリについては、「ウィルスに侵されていないか、不審な動きはないかと常に目を光らせており、チェックの精度は日々高まっています」

 と言う。しかし怪しいアプリを完全には排除できておらず、一部はチェックを潜り抜けている。個人のサイト経由でダウンロードするのは、さらに危険度が高い。ウイルス対策ソフト大手のトレンドマイクロのコーポレートマーケティング部、鰆目(さわらめ)順介氏は言う。

「非公式サイトからアプリを入手するときは、ウイルス対策ソフトを入れておくなどの対策が必要です」

 プレイストアで検索すれば、無料のウイルス対策ソフトも見つかるので活用したい。

※週刊朝日 2012年4月13日号