森下洋子さん バレエへの思いに影響を与えた被爆者の祖母を語る 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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森下洋子さん バレエへの思いに影響を与えた被爆者の祖母を語る

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週刊朝日

 舞踏歴61年で、今なお全幕を踊り続ける世界でも稀有なバレリーナ・森下洋子さん。舞台に穴をあけたことは一度もない。踊ることへの強い思いには、幼い頃一緒に暮らした祖母の生き様が大きく影響している。

*  *  *
 祖母は被爆し、左半身に大きなやけどを負っていました。指先も曲がり、使えるのは親指だけでしたが、私と一緒にお風呂屋さんへも平気で行き、愚痴や恨みごとは一切言わず、「死んだと思われてお経まであげてもらったのに、こうして生きている私は幸せ者」と明るく話していました。愚痴や不満ばかり言うか、「この親指があるから洗濯もできる」と言うか。ひとつのことをどう見るかで人生は大きく変わる、どんなことでもあきらめないで前向きにとらえることが大切だと、祖母の姿から教わりました。

 私は踊りでも「人ができて、自分ができないのかダメだ」とは考えません。人とは比べない。前向きに「あそこをこうしよう、こうできるかもしれない」と毎日少しずつ、1年生にもどって、長いスパンで考えて、稽古を続ける。時間をかければ必ずできるようになる。何かをできるようになるには時間がかかるものです。あきらめずにやり続ける。これが大事なのだと思います。

※週刊朝日 2012年3月30日号


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