日本銀行は2月14日、市中への資金供給を最大10兆円増やす追加の金融緩和(量的緩和)に踏み切った。これを受けて17日には、9000円を割り込んでいた日経平均株価は半年振りに9400円台に乗せ、1ドル=77円台だった為替相場も79円台に回復。しかし、その同日、政府は消費増税法案の「大網」を予定通りに閣議決定した。もしこれが増税のアシストの量的緩和なら、せっかくの円安も株高も持続しない、と経済界の裏バイブル「闇株新聞」主宰は指摘する。

 本当は、量的緩和に合わせて複数の政策をパッケージで実行し、その効果を最大限にすべきだったのだ。

 例えば、「外貨を100兆円規模で買え」という為替政策を、今回の量的緩和と同時に行うべきだった。円高のうちに為替介入でドルを大量に買っておき、量的緩和で円安になれば、ドルの評価益が上がった分だけ国の収入となっていたのである。

 また、銀行への「不労所得税」も有効だ。これは最近の永田町で急浮上している「資産税」とはまったく異なる。

 量的緩和で銀行の預金を増やしても、銀行が「貸し渋り」をやめない限り、日銀の金庫の中で眠っているだけである。こうした「銀行の遊休資産」に課税することで、お金が市中に回るようになれば、量的緩和の効果もいっそう高まる。

 つまり、十分な「量的緩和」を行い、それに必要な政策を組み合わせ、さらに行政の無駄を省くことが、消費増税を考える前に最低限に必要なことである。

※週刊朝日 2012年3月2日号