妻が寄せた手記 ジャーナリスト黒木昭雄氏一周忌 (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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妻が寄せた手記 ジャーナリスト黒木昭雄氏一周忌

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週刊朝日

 先日、お父さんの夢を見ました。無言で帰宅したあと、
「冗談だよ!」
 と言うお父さんにしがみついて泣いたところで目が覚めました。この夢のことは子どもたちに話すことができませんでした。つらく、苦しいことを思い出すことになりますから……。

 お父さん――。

 子どもが生まれてからずっと、1歳年下の主人をこう呼んできました。そのお父さんが突然、私たちの前からいなくなってもう1年です。

 2010年11月1日、夕方4時ごろ。「週刊朝日の副編集長と打ち合わせがある」と言って、いつもどおり、車で出かけました。

 着るものは私が用意しました。お気に入りの茶色のジャケットです。

「寒くなってきたから、これがいいネ」
 と。出かけるとき、
「いい仕事してくるから」
 と親指を立てました。その前の数日は体調がよくなかったのです。

「よく眠れない」
 と言っていました。医師にはうつ病と言われていたようなのです。私には全然そうは見えなかったのですが、心配をかけまいと、笑みをくれたのでしょう。

 そして、「行ってくる」とのあいさつ代わりのクラクションを鳴らしました。

 1時間くらいして、
〈渋滞してたけど、無事、着いたよ〉
 とメールが来ました。しばらくして、
〈久しぶりに会ったのでお酒を飲みました。ホテルをとってもらったので、明日の朝、帰るネ。戸じまりして早く休んでください。スマン〉
 とメール。久しぶりに会って熱心に話をしているものだと思い、電話はしないで、メールで、
〈了解です。家の方は大丈夫です。のみすぎないようにネ〉
 と返信しました。すると、
〈ハイ、ハイ〉
 とまた返信が来ました。

 翌朝にも、
〈昨晩はおいしいお酒をのみました。かえりに親父の墓に寄ってから帰るネ〉
 とメールが来ました。普段どおりの頻繁なメールのやり取り。だから、私もいつもどおりに仕事に行きました。

 しばらくして、息子(22)からの電話でお父さんから来たメールの内容を聞きました。


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