自民党が無償で使い続ける超一等国有地 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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自民党が無償で使い続ける超一等国有地

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神田知子週刊朝日

 自民党本部があるのは、国会議事堂や衆参の議員会館から目と鼻の先の超一等地、東京都千代田区永田町1丁目だ。地上9階地下3階の建物は築45年で老朽化が進んでいるが、数多くの首相を生み出してきただけに風格が漂い、駐車場に生い茂る立派な樹木にも目を奪われる。

 党本部は、1964年の東京オリンピックによる都市計画で国道246号を拡幅する際、社会党本部とともに立ち退き対象となった。そのため、自民党は参議院第二別館の隣に、社会党は皇居のお堀に近い246号沿いの現在の場所に移った。

「両党が移った土地は国有地で、常識では考えられない破格の値段で借りて自前のビルを建てている。他の政党は自前で資金を工面して土地を用意したり、民間のビルを借りたりしているのですから、本当に不公平ですよ」(永田町関係者)

 財務省理財局によると、自民党が借りているのは3306・48平方メートルで、年間の賃料は8970万円、社民党は1717・58平方メートルで同3390万円だ。この賃料はこれまで、何度も議論の俎上(そじょう)に上ってきたが、財務省は「適正」だと言い続けてきた。

 両党以外をみると、公明党は東京都新宿区に5億5220万円で土地を買って党本部を建て、共産党は党員の寄付などで渋谷区に土地を得てビルを構えている。みんなの党は、お世辞にも広いとは言えないマンションの一室を党本部にしている。

◆党本部の駐車場、一部は賃料ゼロ◆

 政権与党である民主党も、国会近くにある民間ビルの7フロアを借りている。年間の賃料は1億7221万円と自社両党より高いが、車寄せもなく、出てくる議員を取材しようと待ち構える記者が、歩道にまではみ出している状態だ。

 自社両党の賃料を民間並みに引き上げるだけでも、かなりの復興財源が見込めるが、今回、本誌が新たな財源として提案するのは、自民党が党本部の駐車場として利用しているもう一つの国有地の賃料だ。

 あまり知られていないのだが、自民党本部の土地所有者は、登記簿上は財務省と衆議院に分かれている。自民党が約9千万円の賃料を払っている3300平方メートル余りの土地というのは、敷地の7割ほどを占める財務省所有分だけ。衆議院が所有する残る3割、1320・02平方メートルの土地は賃料ゼロ、なんと無償で使っているのだ。

 現地を見ても、境界線にフェンスなどがあるわけではない。二つの土地は一体的に党の駐車場として使われ、衆議院の土地には自民党の街宣車などが止まっている。駐車場側の出入り口が閉鎖されているので、党本部前を通って出入りするしかない。

 それなのに、なぜ一部だけが無償なのか。衆議院に問い合わせると、
「衆議院が管理する土地を自民党本部の敷地として貸し付けが行われたことはありません。自民党本部の敷地については、現在、財務省が管理する国有地であり、財務省が契約を締結し、貸し付けが行われていると承知しています」(衆議院広報課)
 と、木で鼻をくくったような答えが返ってきた。

 何を言っているのかさっぱり分からないので、自民党にも聞いてみた。すると、
「衆議院との取り決めに基づく権原にしたがって使用しているところです。衆議院議員が便宜的に駐車場として使うため、賃料はとらない、という取り決めになっています。契約書もあります」(党幹事長室)
 とのことだった。こちらも分かりにくいが、要は、「合法的」に土地を無償で利用しているので問題はない、ということのようだ。

 しかし、言葉どおりに「衆議院議員が便宜的に使う」のなら、他党の議員も自由に使えるのかというと、
「仮に使えるとしても、常識的に考えて、警備などの都合上、お断りするしかありません」(同)

 それなら結局、自民党だけに便宜を図っているようなものではないか。

「55年体制の下、行政府の長である首相の座を独占してきた自民党は、行政と一体化してきました。しかし、それ以上に一体化していたのが立法府の衆参両院です。行政と比べて職員数が少なく、一緒にゴルフに行ったり、同じ釜のメシを食べたりした仲です。土地を無償で貸しているのも、長年のなれ合いの結果でしょう」
 とは、さる衆議院関係者の解説。岩井奉信・日本大法学部教授(政治学)もこう指摘する。

「賃料が妥当かどうかという問題はもちろんありますが、無償で国有地を使うのはさらにひどい。これでは、ヤミの政党助成金と言われても仕方ありません。衆議院が賃料を請求しないからこのままでいいというのではなく、道義的にみて、自民党は少なくとも時効分の5年間は遡って払う必要があるでしょう」

 ちなみに、財務省所有の土地と同じ賃料を払うと年間約3500万円になる。だが、大手の不動産鑑定士事務所に問い合わせると、
「路線価をもとに計算すれば、自民党本部の周辺の土地の賃借料は1300平方メートルで年間約1億1千万円になります」
 とのことだった。

 財源を探すなら足元から。野田首相、復興財源にいかがですか!?


■主要な政党本部の面積と賃料
政党    面積 賃料(年額)
民主党   3018.57平方メートル(民間ビル7フロア) 1億7221万円
自民党   土地:3306.48平方メートル          8970万円
       建物:1万3663.43平方メートル          自己所有
       (地下3階地上9階建て) 
公明党   土地:1036.32平方メートル            自己所有
       建物:2953.69平方メートル 
       (地下1階地上5階建て) 
共産党   土地:2655.37平方メートル            自己所有
       建物:1万6577.5平方メートル
       (地下2階地上11階建て) 
社民党   土地:1717.58平方メートル          3390万円
       建物:6444.41平方メートル            自己所有
       (地下1階地上7階建て) 
みんなの党 36.86平方メートル(マンション)         156万円
国民新党  178平方メートル(民間ビル)              非公開

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