福島原発「最終処理」まで30年のデス・ロード (2/5) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

福島原発「最終処理」まで30年のデス・ロード

このエントリーをはてなブックマークに追加
作田裕史週刊朝日#原発

現代の肖像 小出裕章 (eAERA) [Kindle版]

今井一著/会田法行写真

B00JR5M3S6

amazonamazon.co.jp

◆政府の対策案は「付け焼き刃」だ◆
 この現状に対して、冒頭で紹介した政府の対策案は付け焼き刃でしかない。小出助教が続ける。
「原子炉建屋を囲いで覆うといいますが、高温の蒸気に耐えられるのか。もし内部に水素がたまったら、再び水素爆発の危険があります。今から汚染水をためるプールやタンクを建設するなんて、とても間に合いません。タンカーなら間に合いますが、これほど高濃度の汚染水をどうやれば処理できるか分かりません」
 結局、冷えるまで手が出せないというのだ。
 こうしている間も、密閉性を失った圧力容器から高濃度の放射能が空へ漏れ出ている。風向き次第で首都圏へ運ばれてくるかもしれない。
 では、過去の原発事故はどうやって処理したのか。
 86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故では、制御不能になって爆発したむき出しの炉心に、上から砂をまき、原子炉建屋全体をコンクリート製の「石棺」で囲んで放射能を抑え込んだ。このため、専門家の間からは、 「今すぐコンクリート詰めにして、放射能の漏出を防ぐべきだ」 との意見も出ている。
 しかし、チェルノブイリ原発事故に詳しい大阪大学の宮崎慶次名誉教授は、逆に危険だとする。
「高温の燃料に長時間さらされるとコンクリートに亀裂が入り、閉じこめたはずの放射性物質が出てくる恐れがあります。どんなに時間とコストがかかっても、燃料を圧力容器から取り出して、後世に憂いを残さないように処理すべきです」
 チェルノブイリ原発事故よりも参考になりそうなのが、79年に起きた米国スリーマイル島原発事故だ。福島原発と同様に冷却水喪失事故を起こし、溶融した燃料の一部が圧力容器の底に落ちて容器にひびが入り、メルトダウン寸前になった。その処理には14年の歳月と、汚染除去費だけで10億ドル(当時1600億円)のコストがかかった。
「スリーマイル島原発では、放射能で汚染された原子炉建屋に1年以上入ることもできませんでした。圧力容器のふたを開けたのは、5年後のこと。そして6年後からようやく内部の燃料を取り出す作業が始まり、汚染水の処理を終え、安全が確認されたのは93年12月でした」(前出の宇根崎教授)
 ただ、スリーマイル島原発で事故を起こしたのはたった1基だった。福島原発は1~3号機すべてが事故を同時に起こしていて、さらに3、4号機の使用済み燃料プールにも損傷した燃料棒が入っている。
「スリーマイル以上の時間とコストがかかることは避けられないでしょう」(同)


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい