夜空の中をゆっくりと位置を変えていく星は、中世ヨーロッパの天文学者を惑わす星として呼ばれ、日本語でも「惑星」と名づけられました。実際に季節単位の時間では、惑星はその位置を大きく変えます。週末は全道的に高気圧に覆われて晴れるところが多くなります。去り行く宵の明星を観察してみましょう。

去り行く宵の明星(2017年3月15日午後6時頃、西の空) 撮影:日本気象協会北海道支社 持田 浩
去り行く宵の明星(2017年3月15日午後6時頃、西の空) 撮影:日本気象協会北海道支社 持田 浩

星座を形作る恒星は位置を変えませんが、惑星は星座の中を少しずつ移動していきます。
たとえば、昨年の夏にさそり座付近にあった火星は、現在はオリオン座の右のほう、おひつじ座付近に移動しています。
少しずつ位置を変えるこれらの星は、望遠鏡で星の位置を調べ始めた中世ヨーロッパの天文学者にとって、とても不思議で惑わされたことでしょう。

惑星の語源

このように夜空をさまよい位置を変える星に対して、ギリシアでは昔から「planetes(プラネテス、さまよう人)と呼んでいました。
それを語源として英語で「planet(プラネット)」とあらわし、日本では「惑(まどわす)星」とし、「惑星」として現在もそう呼ばれています。

遊星、迷星

惑星は他にも「遊星(ゆうせい)」「迷星(まよいほし)」という呼び名もあります。
なかなか的を射たよい表現だと思いますが、天文学の間ではもうほとんど使われなくなっています。
ちなみに遊星という名は(もともとの意味とは違いますが)、筆者が夢中になって見ていた某アニメでも、冥王星から地球に向けて攻撃した兵器に「遊星爆弾」という呼び名が使われているように、言葉としては生き残っています。

去り行く宵の明星

冬の間から宵の空高いところに宵の明星として輝いていた金星ですが、最近は地平線の少し上に移動しています。
私たちの目を楽しませてくれた宵の明星は今後さらに低くなり、来週には見えなくなります。
17日、また18日からの3連休は太平洋側を中心に晴れるところが多くなりそうです。
午後6時くらいをめどに、西の空が開けたところで去り行く宵の明星を観察してみましょう。