風を読む熱気球

佐賀平野では今月6日まで熱気球世界選手権が行われています。熱気球競技は予め決められたゴールに時間内でどれだけ熱気球を近づけることができるかを競います。熱気球は人が乗るバスケット上部のガス燃焼器で火を燃やし、暖めた空気を気球内に送りこんで浮力を得ます。火力を随時、調整することで熱気球は上下の動きができますが、水平方向の動きは風まかせです。

晩秋の佐賀平野に浮かぶカラフルな熱気球
晩秋の佐賀平野に浮かぶカラフルな熱気球

どうやってゴールに近づくの?

地上から上空まで風向きは一様と思われがちですが、地形などの影響を受けるため、高度により風向きは微妙に違います。ときには地上付近は東風が吹いていても上空は逆の西風が吹いていることもあります。そこでパイロットは気球の高さを変えることで自分が進みたい方向の風を探し、それに乗ります。熱気球競技はパイロットが上空の風向きを読む競技なのです。離着陸時は風の影響を特に受けますので、競技は大気の状態が安定し、風が弱い早朝や夕方に行われます。

パイロットは風を感じない!

ところで熱気球は風と一緒に進むため、乗っている人はほとんど風を感じません。パイロットは太陽の方向や下界の変化、周囲に浮かぶ他の熱気球の位置などを参考にして自分が乗っている風が正しいかどうか判断します。以前、実験で乗せてもらったことがあります。その際、おもちゃの風車を持ちましたが、もちろん風車は回りませんでした。また水を入れたコップをバスケットの縁に置いても水は全くこぼれませんでした。熱気球は揺れのない安定した乗り物で聞こえる音はガスの燃焼音だけでした。