お正月と言えば、おせちやお雑煮などの正月料理ですよね。数の子や黒豆、田作りに紅白かまぼこなど、たくさんの料理が並んでいて食べるのが楽しくなっちゃいます。ただ時々「夫や妻の実家のおせちに見たことがない物が入ってた!」という困惑の声を耳にすることがありますよね。確かに、正月料理は地域毎の特徴が色濃く 表れる料理でもあります。そこで今回は、全国の正月料理で特にユニークなものを紹介します。

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1.氷頭なます(北海道・新潟県など)

氷頭(ひず)とは鮭の頭部の軟骨のことで、これを酢締めにしたものが「氷頭なます」という食べ物です。北海道や北日本を中心に食べられている高級珍味で、特に北海道では祝い膳として用いられ重宝されています。関東地方や関西などでは聞きなれない言葉ですが、北海道民のお正月には定番となっている一品です。

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2.ハタハタ寿司(秋田県・山形県など)

秋田県の県魚で主に日本海沿岸地域で食されている「ハタハタ」。秋田県や山形県ではこのハタハタにご飯と麹をふんだんにまぶして、なれ寿司のようにする食文化があります。保存食として昔から親しまれている「ハタハタ寿司」ですが、民謡「秋田音頭」の一節に「ハタハタなしでは正月を迎えられない」とあるほど、当地の正月には欠かせない料理となっています。

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3.いかにんじん(福島県など)

福島県の北部や会津地方で食べられている「いかにんじん」。当地の正月料理としては欠かせない一品で現在も多くの家庭で食べられています。名前の由来は“イカ”+“にんじん”だからという何ともシンプルな理由。

千切りにしたスルメイカと、これまた千切りにしたにんじんを醤油やみりん、砂糖を入れた特製のタレに2~3日漬け込んだら完成です。調理に火を使わないことに少し驚いたのは筆者だけでしょうか…。ちなみに初冬に出回る長にんじんを使うとより美味しいのだそう。

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4.鮒の甘露煮(栃木県・茨城県など)

内陸部の貴重なタンパク源として古くから親しまれてきた川魚の「鮒(フナ)」。栃木県の南部や茨城県の古河市周辺では、鮒を甘辛く煮た甘露煮が尾頭付きの縁起物として正月や祝い事に用いられています。

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5.べろべろ(石川県など)

加賀料理の一つで石川県民のおせち料理には必ずと言って良いほど入っている「べろべろ」。溶き卵を寒天で固めた食べ物で、石川県内では地域によって「えびす」や「はやべし」などさまざまな名前で呼ばれています。また、味付けも地域によって“砂糖+醤油”だったり“砂糖+塩”だったりするので色の見た目も異なるのだとか。

知らない人が字面だけ見たら「妖怪の種類?」って思ってしまうかも。どちらにせよ、現物を見るまでは何のことだかさっぱりわかりません。

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6.きな粉雑煮(奈良県)

お正月の定番料理といえば汁の中におを浮かべたお雑煮ですよね。全国津々浦々さまざまなお雑煮がありますが、主に奈良県で食べられている「きな粉雑煮」は特に珍しいお雑煮として知られています。

白味噌仕立ての雑煮の横に置いてあるのは甘いきな粉が入ったお皿。すでに味が染みているお餅をお椀から取り出し、きな粉にバウンドさせてから食べるという特異なスタイルです。食べてみると意外や意外、和スイーツのような感覚でやみつきになる人もいるのだとか。

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7.ワニの刺身(広島県・島根県)

日本にもワニ食の文化があったの!?と思ってしまいますが、中国地方の山間部ではサメ肉のことを「ワニ」と呼ぶ習慣があり、サメのお刺身のことを「ワニの刺身」と言っています。サメの身は尿素を多く含んでいるため腐食しにくく、内陸でも刺身として食べられていたという文化があり、広島県北部や島根県南部の山間部では今もお正月にサメ肉を食べる風習が根強く残っています。

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8.ターンムディンガク(沖縄県・鹿児島県奄美諸島)

ターンムは沖縄の方言で「田芋」、ディンガクは「田楽」を意味します。田芋は本州ではあまり見かけませんが、浅い水を張った畑の中で親芋に子芋や孫芋がたくさん成る様子から、沖縄地方では子孫繁栄を願う縁起の良い食べ物とされています。

“田楽”なので味噌を塗って食べたり、出汁で煮ているかのかと思いきや、茹でてつぶした田芋に砂糖やみりんで味付けをしているため甘いのだとか。一般的なおせち料理の“栗きんとん”のようなものをイメージすると良いかもしれません。

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全国の珍しい正月料理の数々いかがでしたでしょうか。日本全国には珍しい正月料理がたくさんありますよね。町や村単位で見れば、もっと驚くような料理が振る舞われているかもしれません。

食べ物の生産性や流通性が高くなった現代では、料理も平準化されてローカル毎の特徴が薄れてきてしまっているのも事実。地方の文化を後世に伝え、多様性のある未来を守っていきたいですね。

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