秋は月がひときわ美しい季節。姿を変えながら夜空を巡る月と、観望期を迎え、明るく輝く惑星の出会いを楽しみましょう。9月10日は秋の風物詩、お月見です。今年の中秋の名月は、満月のなかでも特別な満月に。
今回は、9月に注目したい星空情報をご紹介します。

【9月7日~12日】満月前後の月が、土星と見頃を迎える木星を巡る

10日に「中秋の名月」を迎える月は、形を変えながら夜空を移動し、8日に土星、11日には木星に近付きます。満月前後の明るく輝く月と、2つの惑星の共演を楽しみましょう。

土星は、宵の南南東の空に見え、0.4等から0.5等の明るさ。木星に比べると控えめな輝きですが、8月に続き観測しやすい時期となっています。

木星は9月27日に「衝(しょう)」となり、観測の好機に入ります。衝とは、外惑星が太陽とちょうど反対側にくる瞬間のことで、最も地球に近付いて明るく見える時。太陽が沈む頃に東の空から昇り、日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。見頃を迎える木星は、マイナス2.9等の輝き。明るい星が少ない秋の夜空で、美しい姿を見せてくれます。

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【9月10日】今年の中秋の名月は、まさに満月そのもの

2022年の中秋の名月は、昨年に続き満月の日付と一致します。満月になる「望」の瞬間は18時59分頃。今年のお月見は、ほぼ満月の状態で昇ってくるということになります。

中秋の名月は、必ずしも満月なるとは限りません。来年までは中秋の名月と満月の日付が同じですが、それ以降は名月が1日か2日早くなります。その次に日付が一致するのは、2030年になります。

≪中秋の名月と満月の日時(望の時刻)≫

●2022年
名月・満月/9月10日(18:59)

●2023年
名月・満月/9月29日(18:58)

●2024年
名月/9月17日
満月/9月18日(11:34)

●2025年
名月/10月6日
満月/10月7日(12:48)

●2026年
名月/9月25日
満月/9月27日(1:49)

●2027年
名月/9月15日
満月/9月16日(8:03)

●2028年
名月/10月3日
満月/10月4日(1:25)

●2029年
名月/9月22日
満月/9月23日(1:29)

●2030年
名月・満月/9月12日(6:18)

画像:国立天文台
画像:国立天文台

【9月16日・17日】並んで輝く赤い星、火星とアルデバランに月が接近

今年の12月に地球最接近となる火星。明るさはすでに0等級に達しており、9月中旬には真夜中の東の空で赤い光を放っています。火星のすぐ右側で輝くオレンジ色の星は、おうし座の1等星アルデバラン。16日の夜、並んで輝く2つの赤みを帯びた星に月が近付き、目を引く光景となります。

16日は月の出が遅いため、真夜中を過ぎて日付が変わった頃の方が月の位置が高くなり、観測しやすいでしょう。アルデバランの周辺には「ヒアデス星団」という星の集団があり、V字型に並んだ暗い星々を肉眼でも見ることができます。

月と火星、アルデバランからやや上方の空には、「プレアデス星団(すばる)」が輝いています。下弦前の月が近くにあるため、肉眼で見つけるのは難しいかもしれません。双眼鏡があれば、ぜひ観察してみましょう。

・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報(2022年9月)」
国立天文台 暦Wiki「名月必ずしも満月ならず」

画像:国立天文台
画像:国立天文台