6月の1ヵ月間は環境月間です。クールビズや太陽光の利用など、私たちの暮らしにおいて、少しずつですが環境を守る取り組みが始まっています。しかし、地球温暖化はますます進み、止まってはいないようです。では、どうして温室効果ガスが発生するのでしょう。その仕組みについて考えてみたいと思います。

地球の炭素(C)や窒素(N)の量は一定。これがCO2やN2Oになると温暖化の原因になる

地球温暖化は、大気中の二酸化炭素(CO2)や亜酸化窒素(N2O)といった温室効果ガスの割合が増えることで起こります。気温が上昇することにより世界では、海面の上昇、干ばつ、熱波による健康被害、生態系の破壊などがいわれています。
地球上に存在する炭素(C)や窒素(N)の量はもともと一定で、地球の外から運ばれてきたり、地球から宇宙へ放出されることはありません。したがって、温室効果ガスが増加するということは、地球上にあるCやNのうち、温室効果ガスのCO2やN2Oの割合が高くなる、と言い換えることができます。そこで、今一度、温暖化に関する問題について考えてみましょう。

化石燃料はなぜ環境によくないのか。それはCO2になったらCには戻せないから

化石燃料は生物の死骸が長い時間をかけて変成して固まったもので、いわばCの塊です。つまり、地球上のCの一部は化石燃料という形で固体として存在しているといえます。
私たち人間がそれを燃料として燃やして利用することで、CはCO2に形を変えて大気中へと放出されます。問題は、一度CがCO2へと変化してしまったら、元のCには戻せないということです。
CO2から酸素(O2)を離してCに戻すことができれば、温暖化をストップすることができますが、放出してしまった温室効果ガスは、元に戻すことはできません。
化石燃料を燃焼させることは簡単ですが、化石燃料は人工的に作ることができず、天然で作られるには数百年というとても長い時間が必要です。このまま人間が化石燃料を使用し続けると、温室効果ガスを放出しながら、そう長くない将来、地球上の化石燃料は枯渇してしまいます。
このように、化石燃料の枯渇、温暖化の増大という両方の点からも、自然エネルギーの活用などが早急に求められるというわけです。

新たなエネルギー源、バイオエタノールの可能性にも期待

大気中に放出されてしまった大量のCO2…。
地球上において、大気中のCO2を吸収して固体へと固定する役割の大半を、植物の光合成が担っています。単純に考えれば、植物を増やすとどんどんCO2が光合成に使われます。
さらに、CO2を吸収してくれる植物そのものをエネルギー源として利用できれば、光合成によって大気中のCO2の量が増えることはなくなり、しかも、再生可能で環境にいいエネルギー源となります。それを可能とさせるのがバイオエタノールです。
バイオエタノールとは、トウモロコシやサトウキビといった穀物の持つCから生成されたエタノール(C2H5OH)を指します。この生成によって、穀物のCがエタノールというエネルギーとして、私たちの生活に利用できる形へと変化するのです。
たとえば、放置されているような畑を利用して、育てるのが比較的簡単なトウモロコシなどを生産すると、休耕地の活用とエタノールの生産の両方が可能となります。とはいえ、畑仕事のトラクターの燃料や、運搬用のガソリンを考えると、エタノールを作る工程で、化石燃料を使わざるをえない時もあります。エタノールの技術はまだまだ発展途上の研究分野です。これからますます研究が進み、さらなる技術の発展がのぞまれます。
〈参考:環境省「環境の日及び環境月間」〉
〈参考:WWFジャパン「地球温暖化が進むとどうなる?」〉
〈参考:東京電機大「バイオエタノールってなに?(2)」〉
ここ数十年で私たちの暮らしにプラスチックが急速に浸透し、今、特に海洋生物の生態系にプラスチックが大きな影響を与えているとして、その対策について議論がはじまっています。温室効果ガスについては以前から警鐘が鳴らされていますが、私たちの暮らしは環境を守るために大きく変わったようには思えません。6月は環境月間。環境について、今一度考えてみるいい機会かもしれません。