ほおづき市の発祥地は?愛宕神社で江戸情緒と夏越しの祓えを 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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ほおづき市の発祥地は?愛宕神社で江戸情緒と夏越しの祓えを

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愛宕神社の千日詣り

愛宕神社の千日詣り

出世の石段

出世の石段

愛宕のほおづき縁日

愛宕のほおづき縁日

愛宕神社

愛宕神社

水無月の23日(木)・24日(金)の2日間は、東京都港区の愛宕神社の千日詣り。同時に開催される「 ほおづき縁日 」では、「霊験あらたかな愛宕のほおづき」と呼ばれる、青いほおづきが境内に並びます。今では各所で開かれるほおづき市の発祥は、この愛宕神社とのこと。都心のパワースポットに、無病息災を祈りに行ってみませんか?

愛宕神社は徳川家康の命で創建された防火の神様

愛宕神社は1603(慶長8)年、江戸に幕府を設く徳川家康の命により、京都の本山・愛宕山から愛宕権現を勧請して創建されました。主祭神は火の神・火産霊命(ほむすびのみこと)。家康公は、江戸の町の防火神としての必然を考えたのでしょう。転じて現代では、「恋の炎」「燃えるような恋」の成就を祈願する恋愛・結婚・縁結びの神さまとして、人気のパワースポットともなっています。
ちなみに、愛宕神社がある愛宕山は標高25.7メートル。人造ではなく自然地形で天然の山としては、なんと23区内で一番の高さなんです!江戸時代には、東京湾や房総半島までを見渡すことができる見晴らしの名所として、たいへんな人気だったそうです。

サラリーマンのお参りが絶えない名所「出世の石段」の由来は?

港区はオフィス立地でもありますが、愛宕山の愛宕神社へ上る正面の急な石段(男坂)は、「出世の石段」と呼ばれ、毎日たくさんの人がこの石段を登って神社にお参りしています。この由来は、講談や浪曲で有名な『寛永三馬術』で語られる、曲垣平九郎(まがき・へいくろう)の故事になります。
寛永11年の春、三代将軍家光公が将軍家の菩提寺である芝の増上寺に参詣の帰途、ここ愛宕神社を通りかかった時のこと。満開の梅を見た家光が、石段を馬で上り、梅を取ってくるよう命じました。あまりの急勾配に直近の家臣らが尻込みする中、四国丸亀藩の家臣・曲垣平九郎が見事に馬を操り石段を上り下りして、家光公に梅を献上。平九郎は家光公より「日本一の馬術の名人」と讃えられたと伝えられています。
自分の足で昇降するにも恐怖を感じる急な石段に、決死の覚悟で挑む馬上の平九郎。明るいキャラクターながら、その男気は本物。手に汗握る『寛永三馬術』の物語を聞けば、ますます愛宕神社が身近になるでしょう。

ほおづき市も羽子板市も愛宕神社から始まった

「伊勢へ七たび 熊野へ三たび 芝の愛宕へ月まいり」と信心深い様子を表す俗謡が詠まれるほど、江戸時代の愛宕神社はポピュラーでした。今はほおづき市と言うと浅草などが有名ですが、もともとは羽子板市とともに、愛宕神社が発祥の地でした。境内で自生していたほおづきを飲めば子供の癇・婦人病に効くと言われるようになり、「霊験あらたかな愛宕のほおづき」を並べた市が立つことになったのです。
そんな愛宕神社の千日詣り 。23・24日の両日に社殿前の茅の輪をくぐりお参りすれば、千日分の御利益があると昔から信仰されています。24日には自分の厄を移した形代(ひとがた)を神社に納め、半年間の厄を祓い清める中祭式が行われます。この行事が、年末の大祓いに対し、夏越し(なごし)の祓えと言われます。

『御宿かわせみ』でも描かれた、江戸庶民の愛宕まいり

平岩弓枝作の連作時代小説『御宿かわせみ』でも、愛宕まいりの様子が生き生きと描かれています。ご存知、大川端の旅籠「かわせみ」を舞台にした人情捕物帖シリーズです。
「陰暦六月二十四日は愛宕まいりの日であった。この日愛宕権現に参詣すると、千日間分の後利益があるというので、老若男女、先を争って御山へ上がって来る。」(引用:『御宿かわせみ21 犬張子の謎』より「愛宕まいり」)
宿屋商売に火の用心は肝腎。本殿で火伏せの護符を頂いて台所のかまどの上に貼りつけなくてはいけないと、主人公の女将るいと一同が、八十六段の男坂を懸命に上ります。無理せずに女坂の方を、と進める番頭に「表と裏じゃ、表からのほうが御利益があるに決まってます」と女中頭のお吉が答えるくだりを読むと、火事が日常茶飯事だった時代の切実さが伝わります。
物語は、この石段の途中ですれ違った顔馴染み、深川の材木問屋の嘉兵衛をめぐるミステリーが展開されていきます。そんな江戸人情話に思いを馳せながら、本格的な夏到来を前に、愛宕神社の出世の石段を上る厄払いに出かけてみてはいかがでしょう。

引用と参考文献:
『御宿かわせみ21 犬張子の謎 』(文春ウエブ文庫版) 2006年9月20日第一版
平岩弓枝 著 発行所: 株式会社 文藝春秋


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