二十四節気「立夏(りっか)」。青空と薫風に初夏の到来を感じるころ 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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二十四節気「立夏(りっか)」。青空と薫風に初夏の到来を感じるころ

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本日5月5日は、端午の節句「こどもの日」。二十四節気では「立夏(りっか)」を迎え、暦で夏となりました。気温も各地でぐんぐん上昇し、昨日の「みどりの日」から夏日(なつび)となった地域も多く、まさに暦通り。はればれと晴れわたった青空、すがすがしい薫風、みずみずしい新緑に気分も爽快ですね。一年で最も過ごしやすいこの季節ならではの歳時記や風物詩を少し紐解いてみましょうか。

夏のはじまりの日、「立夏」。本日はぜひ菖蒲湯を浴びて

新緑の間に鯉幟(こいのぼり)のはためく、日の光に矢車のきらめく、何と心よいものではないか。櫨(のき)の菖蒲こそ今は見えぬが、菖蒲湯のすがすがしい香り、これも一寸古俗に心ゆかしさを感じさせられる。しかし何も彼も更新の時である、菖蒲も煮くたしたやうになっては野暮だ、清らかな新湯へ、さつと菖蒲を打込んだ其わづかの間に、湯姻の中から、すいとした、もたれつ気の無い匂に浸されるところに嬉しい、新しみの強い、いきいきした、張りのあるいい気持ちをおぼえるのだ。
──これは、東京生まれの作家・幸田露伴による「菖蒲湯」(昭和8年5月)という短文の一節。まさにこの立夏、端午の節句の頃合いを描写しています。「立夏」とは、二十四節気では夏のはじまり。太陽が黄径45度の点を通過するときをいいます。
毎年「端午の節句」もほぼ同日で、5月の風にひるがえる鯉幟は、夏を迎える旗印。
この鯉幟は、急流を溯ることができた魚は龍になるという、中国の「登龍門」の逸話にちなんだもの。立身出世を願う意味合いから、男の子がいる家庭にかかげられるものです。
ほかこの日に粽(ちまき)を食べるのは、中国の戦国時代・楚の詩人屈元(くつげん/紀元前339~278)を悼むため。競渡(けいと/船の競争)というボートレースがが行われるようになったのも、同じ意味合いで、長崎で行われる「長崎ペーロン」もまたこの流れをくみ、もともと端午の節句に行われていたと聞きます。
また立夏の風習としては、中国江南蘇州ではかつて、どの家でも家族の体重を大きな天秤ではかり、「秤人(しょうじん)」と称したとか。さらに夏の終わりを告げる「立秋」にもう一度はかり、夏痩せや夏ばてしてないか、チェックするような風習があったそうです。
汗ばむように暑くもなるこの時期、これから盛夏にかけて、私たちも体調管理に気をつけたいものですね。

5月5日は古来からの「薬の日」。山野に出て薬狩りをした日

5月5日はまた、「薬の日」でもあります。(全国医薬品商業組合連合会が1987年に制定したそうです)
そもそもの謂れは、端午の節句に薬草を摘んだり、ヨモギで作った人形を家の戸口にかけたり、菖蒲酒を飲んだりして邪気を払うという、中国古来の風習が我が国に伝わったことから。
さらに、日本書記・推古記によれば、611年の5月5日に推古天皇が大和の莵田野(うだの)で薬草を採取する薬狩りを催し、これから毎年この日を「薬日(くすりび)」と定めたという故事にちなむとか。
(山や野に出て薬を採取することを薬狩、百草取りと呼んだとのことです)
そんな薬狩りをしたという薬の日なのですが、現代で私たちが気軽に取れる薬草といえば、ヨモギやドクダミでしょうか。
とくにドクダミは「十薬(じゅうやく)」とも呼ばれ、十種の薬を合わせたほどの効能があるともいわれています。
これから梅雨にかけ日蔭に咲く、白い十字架を思わせる花(実は苞)も、雑草ながらどこか風情あるたたずまいですね。
花が咲いたころに地上部を採取した後、干してからお茶にしたり、入浴剤にすることが多いドクダミ。デトックス作用で腸内環境が整うことで肌荒れやアトピーの改善、利尿作用による高血圧などの予防などにもいいとあって、古くから生活の中で親しまれている植物です。

昔懐かしき風物詩「苗売(なえうり)」。朝顔も植えるころです

さて、この頃の季語で「苗売(なえうり)」という言葉があります。
その意味合いを辞書(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)で紐解くと、
5月頃、草花やナス、ヘチマ、ヒョウタンなどの苗を天秤でになって町中を売り歩いた人のこと。「朝顔の苗や,夕顔の苗…」という独特の長く引いた呼び売りの声は、都会の初夏の風物の一つであったとのことです。
戦前までは見かけたという苗売は、すでに失われた初夏の風物詩ですが、朝顔や夏野菜の苗は、今時分が植えごろでしょうか。
さんさんと降り注ぐ陽射しのもと、青々とした苗を植えておけば、暑さ本番を迎えるころに、涼や収穫をもたらしてくれることでしょう。
天の色の青さと輝きが増し、すがすがしい緑の風が生きとし生けるものすべての成長をうながすような「立夏」のころ。新緑のまばゆさが目に沁みる初夏、あっという間に過ぎ去ってしまう爽快な季節の趣を、存分に味わっておきたいものですね※参考
現代こよみ読み解き事典(柏書房)、一陽来復(井波律子著)、季語百話(高橋睦郎著)、花の名随筆(作品社)


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