● 4月4日は、「し・し」=獅子の日。

 獅子(ライオン)の存在は、もともとライオンが生息していなかった地域にも古くから知られていました。
さまざまな神話や伝説にライオンが登場するほか、紋章などにも数多く用いられています。

 日本の神社でよく見かける狛犬も、もともとは仏像の前に獅子の像を置く習慣に由来しているのだとか。お正月の「獅子舞」、それに「唐獅子牡丹」などの文様……。

昔の人たちは、ライオンにどのようなイメージを託していたのでしょうか?

ヒッタイト王国の遺跡にある「ライオン門」
ヒッタイト王国の遺跡にある「ライオン門」

●自由で、勇敢で、高貴な生き物

 ライオンの現在の生息地はアフリカ、そしてインドの一部。農業化や都市化によって草原が減少するまでは、ヨーロッパや中東など、かなり広範囲に生息していたと言われています。現代の私たちが想像する以上に、ライオンは身近(?)な生き物だったのかもしれません。
メソポタミアやエジプトでは、ライオンの強さや生命力を「太陽」や「夏」の象徴として捉えていました。

 古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、その著作でライオンを「自由で勇敢で高貴なもの」と表現しています。エジプトのスフィンクスは、ライオンの身体、人間の顔を持つ神獣。ギリシャ神話のグリフォンは、ライオンの身体と鷲の頭部、蛇のしっぽを持つ怪獣です。

 一方、インドの神さまヴィシュヌは、半人半獅子の姿に変身し、魔神を退治します。人間離れした強さ、この世のものではない不思議な力。それらを表現するのに、ライオンのイメージが用いられたのかもしれません。

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