ワイナリーといえば、デーンと構える大きなタンクや樽があって、すぐ近くには葡萄畑が広がって……そんな光景が思い浮かびます。つまり、それなりのスペースがあるのがキホンですよね。
ところが、この土地の少ない都内にワイナリーができたというからびっくり!
いったいどこで、どんなふうに、ワインを造っているのでしょうか?
興味が湧いたら見たくてたまりません!
都内初の醸造施設へ、さっそくお邪魔してきました。

東京ワイナリーの外観  左側が醸造所です
東京ワイナリーの外観  左側が醸造所です

東京初ワイナリーはなんと練馬区にありました!

東京で初となるワイナリーはその名を「東京ワイナリー」といい、東京都練馬区、西武池袋線の大泉学園駅から徒歩10分程度の住宅地にあります。
カラカラと引き戸を開けると、「いらっしゃいませ」の明るい声が……カウンターの向こうで化粧気のない女性がにこやかな笑顔で出迎えてくれました。彼女こそ、ワイン造りの全てをほぼひとりで切り盛りする、店主の越後屋美和さん。
そう、東京初の醸造所を仕切るのは若い女性だったのです!
聞けば、前職は大田市場での野菜の仲卸と、ワインとはまったく違う世界。仕事を通じて東京産野菜の魅力にはまり、「東京の農産物を広める活動をしたい」と考えたのがワイナリーを始めた理由だそう。
山梨でワイン造りを学び、2014年に果実酒製造免許を取得してワイナリーを設立。元は新聞販売店だったという建物の1階、70平米ほどの広さを醸造所とワインを販売するスぺ―スに区切って営業しています。小さいけれどほんわかあったかくて、手作りの良さが感じられます。居心地がよく可愛らしいお店です。

越後屋さんが本日のメニューを紹介中
越後屋さんが本日のメニューを紹介中

ちょっと贅沢な気分になれる「昼呑み」は土・日のみ開催!

よく見ると、カウンターの後ろのボードに、メニューが書いてあります。
「昼呑み」 土・日の午後1時から日没まで。グラスワイン+野菜のおつまみ付き。
1グラス(100cc)500円、3グラス(各80cc)1300円。
この日のメニューは全部で6種類。
「ボトルの販売はありませんがここでお飲みいただけます」というワインを3種類いただきました。
・東京小平市産のシャイン・マスカット(白・中口・微発泡)+いろどりサラダ
・ブルーベリーワイン(ロゼ・やや辛口)+ほうれん草のキッシュ
・東京立川市産のベーリーA(赤・辛口)+あめりか芋のマヨサラダ
香りは華やかで甘い雰囲気だったのに、いざ飲んでみるとどれも意外なほどすっきりした辛口で、美味しい! お料理との相性もバッチリでした。野菜とワインの特徴をよく知る越後屋さんならではのコラボです。
ちなみに、その日に販売していたワインは、次の2本。
・東京産「高尾」(ロゼ・やや辛口)3500円(税込)
・青森鶴田町産スチューベン(赤・やや辛口)2000円(税込)
東京だけでなく各地の果実を仕入れてワインを造っていますが、「都産都消」を合言葉に、ワインになるぶどうを練馬区や清瀬市で栽培しています。

立川市産ベーリーAの赤ワインとあめりか芋のマヨサラダ
立川市産ベーリーAの赤ワインとあめりか芋のマヨサラダ

ピカピカのステンレスタンクはフル稼働中

お店の小さな窓から醸造スペースを覗き見ることができるのですが、せっかくなので見学させていただくことに。
足を踏み入れると、う~ん、いい香り! 決して広いとは言えない作業場に、ぶどうの房から梗を取り除く破砕機や搾汁機などがところ狭しと並び、ぶどうを発酵させる4基のステンレスタンクがいかにも醸造所っぽい雰囲気です。
タンクの横にあるガラスの容器の中で時折ぷくっと泡を出していたのは、ただいま絶賛仕込中のりんごのシードルでした。生きてる、息をしてる、そんな感じがよくわかります。
瓶詰からラベル作成・貼りつけ、販売までと、越後屋さんひとりでの手作業は大変ですが、収穫など人手が必要な時はボランティアの方に手伝ってもらっているのだそう。この日も醸造を手伝っている方がいらっしゃいました。見学は随時受け付けているそうです。

年間およそ9000本のワインを造っています
年間およそ9000本のワインを造っています

── 近年、評価が高まっている日本ワイン。
若き女性醸造家が「都産都消」を目指して「ワイン造りに果敢に挑んでいます。熱い思いが詰まったお店で楽しむ、東京ワインと野菜のマリアージュスタイル。
週末の午後は「東京ワイナリー」でプチ贅沢な昼呑みをしてみませんか?きっと新鮮な驚きや新しい発見に出会えることでしょう。
気になる方はは「東京ワイナリー」で検索してみてくださいね。
すぐ近くには、23区内唯一の牧場「小泉牧場」もありますよ!

可愛らしいイラストのオリジナルワインやカード類
可愛らしいイラストのオリジナルワインやカード類