「スターウォーズ フォースの覚醒」本年No.1の話題作公開が迫りました。エピソード7となる本作。シリーズ第1作・エピソード4が公開された1977年から38年。常に新作が公開される度話題を独占してきたSWシリーズ。でも第1作製作当時まだジョージ・ルーカスは無名でありB級映画(筆者は大好きなジャンルですが)扱いだったそう。今ではSF映画・スペースオペラの金字塔に登りつめた本シリーズ。そして今年は7度目のSWイヤー。初公開からの38年間はまさに様々なエピソードの宝庫です。

黒澤明監督始め日本映画の影響を色濃く受けているSWシリーズ。

主人公ルークの着物を思わせる衣装、レイア姫の卑弥呼のようなヘアスタイル、まるで殺陣そのもののライトセーバーでの戦闘シーン…SWには日本文化を思わせるシーンがたくさん登場します。1作品でも観た事のある方なら、きっとご存知ですよね。
監督のジョージ・ルーカスが黒澤明監督の崇拝者だったのは有名な話ですが、当初、黒澤映画の常連・三船敏郎がキャスティングされていたのはご存知ですか。「もし三船敏郎がSWに出演していたら…」想像するだけで、日本人なら誰でもワクワクしてしまいますよね。残念ながら、実現はしませんでしたが、殺陣の達人であり圧倒的な存在感を持った三船敏郎なら、きっと独自のオビワン像が確立していたはず。そして世界中に三船ファンがもっと増えたはず…そんな思いを馳せ、改めて観賞するのも良いですね。

ご存知ですか?エピソード4の公開当時オリジナル版は現在存在しない事を。

映画界を中心に今、論争が巻き起こっている「ポリティカル・コレクトネス」という言葉、ご存知でしょうか。映画公開当時は問題のなかった政治的・法律的な事柄を、現代の政治や法律に照らし合わせ、問題提起をしたり、はたまた映画そのものをデジタル技術を駆使し改変してしまう…などの一連のムーブメントをそう呼ぶようです。
例えば、1960〜70年代はまだシートベルトが義務化されていなかったので、もちろん映画の中の登場人物達はシートベルトをせず犯人を追いかけたり、ドライブを楽しんだりしていますが、これに現代の法律を持ち出し「いかがなものか?」と問題提起を呼びかける人物や団体が存在するそうです。
SWの中でハリソン・フォード演ずるはハン・ソロは平たく言うと宇宙盗賊・悪党です。主人公の一員ですが決して褒められたキャラクターではありません。しかしルークとレイア姫と出会い、徐々に良心に目覚め彼等と共に悪と戦うようになります。しかし元来荒くれ者のハン・ソロ、気にくわない相手に平気で武器を向けます。問題のシーンは彼がテーブルを挟んで向かいあう宇宙人チンピラにいきなり発砲するシーン。この「ポリティカル・コレクトネス」の観点から言うと予告無しに敵に発砲するのは法に反している、と言うのです。ジョージルーカスはこの圧力に屈し、このシーンをなんと正当防衛のように改変しました。改変はこのシーンだけでなく、1977〜1983年に公開されたシリーズ第1〜3作の中で多岐にわたり行われたそう。この改変のお陰で現在、公開当時の完全オリジナル版(DVDなど)はこの世に存在しないとの事。改変前のテレビ放送などの録画など、個人レベルのコンテンツ以外にはこのオリジナル版を観る事は困難なようです。
SWのコアなファンはこの一件に怒り心頭(と言ってもそれはSW愛・ジョージ・ルーカス愛に溢れているからこそ)、この熱い思いを、監督・ジョージ・ルーカスにぶつけるべくドキュメンタリー映画「ザ・ピープルVSジョージ・ルーカス」を製作したほど。
話は逸れますが、スティーブン・スピルバーグ監督作「E.T.」でもこの「改変」は行われています。物語のクライマックス、ETを宇宙にいる親元に返してあげる為主人公エリオット少年とその仲間達が、政府の役人の手元からETを連れ出し森へと逃げるシーン。警察が少年達に銃を向け追いかけます。これに「警察が子供に銃を向けるとはけしからん」と言う圧力がかかりこのシーンはなんと銃を全てトランシーバーに変えると言うデジタル処理がなされました。又、ビートルズの大ヒットアルバム、「アビーロード」のジャケット写真に写っているタバコが勝手に消されたのもこの「ポリティカル・コレクトネス」の流れのひとつかもしれません。
賛否両論の「ポリティカル・コレクトネス」。オリジナル版が観られない事はなんだか寂しい気がしますね。

印象的なオープニングの元ネタは?

SWでの印象的なシーンは数多くありますが、まず真っ先に浮かぶのは、オープニングのこの物語に至るまでの経緯を説明するナレーションと共にその文面が映し出され奥へと吸い込まれて行く冒頭のシーン。あの宇宙をバックに文字がどんどん画面奥へと流れるシーンは、壮大で否が応でもこれから始まる宇宙のスペクタルに期待は高まり心踊りますよね。もっとも「SW的」とも言えるのではないでしょうか。でも実は、元ネタがあったのはご存知ですか。それは遡ること78年前、1937年公開のセシル・B・デミル監督作「平原児」という西部劇。大平原の地平線をバックに文字が吸い込まれていき、こちらも実に壮大。ジョージ・ルーカスも子供時代、リバイバルかテレビ放映で見て多大な影響を受けたのかもしれませんね。
まだまだたくさんの「あるある」ありますが書ききれません。又コアなファンの方なら、この程度誰でも知ってるよ、と言われてしまうかも。他にもディープな「あるある」、あまた存在すると思います。老若男女問わず誰でも楽しめる娯楽超大作でもあり、コアなファンの心もつかむカルト映画でもある本シリーズ。筆者も本当に公開が楽しみです。
公開日はきっとお祭りのような賑やかさになりそうですね。マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー…懐かしい面々に会えるのも長年のファンには嬉しい限りです。さぁ、いよいよ公開日までカウントダウンが始まりました!