お盆は不思議体験のアンテナがいつもより敏感になりますね。今が旬のキュウリ、それが大好物の妖怪といえばカッパ。「カッパ伝説」は日本各地にありますが、柳田国男著『遠野物語』で知られる岩手県・遠野には、カッパ出没スポットがあちこちに残っているそうです。しかもなんと、『カッパ捕獲許可証』を取得すれば捕まえちゃってもよいのだとか! はたしてカッパとは、どんな生きもの(生きもの?)なのでしょうか。

遠野のカッパ淵
遠野のカッパ淵

水辺にこんな生きものがいたらカッパです、たぶん

日本各地の言い伝えによると、よくいるカッパはだいたいこんな感じです。捕まえるときの参考にしてくださいね。
外見
・子供くらいの体格
・指は3本、水かきアリ
・頭にお皿状の無毛部。渇くと弱って死ぬ
・皮膚は緑または赤
・全身にうろこまたは毛がある
・口は短いくちばし型
・亀のような甲羅があることも
・肛門が3つある
・体臭は生臭い
生態
・川や沼などに住む
・好物は野菜・果物・魚。とくにキュウリが好き
相撲好き
・いたずら好き
・人のお尻をさわるのが好き
・お尻から「尻子玉」を抜いたりするのが好き
・鉄・鹿の角・サルが嫌い
・人間の出す音や歌を真似するのが好き
・節はきれいだが言葉が不明な歌をうたう
人やペットを水の中に引き込んだり、女性を誘惑したりすることがあるので注意が必要です。また、約束を守る律儀な一面もあるようです。

水辺のカッパ像
水辺のカッパ像

『遠野物語』の伝説が語り伝える、リアルな人々

柳田国男著『遠野物語』は、岩手県遠野の村にまつわるカッパなどの言い伝えを聞きとってまとめたもの。素朴で清らかな文体の、哀しいような不思議な伝説の数々・・・それは、直接語られない当時の政策や飢饉を背景とした、リアルな日常でした。

 遠野は、江戸時代に飢饉の被害がとくに深刻だった土地。人は子孫を残すため、強い者だけを生かす選択しかなかったのです。最初に命を落とすのは、小さい子供や高齢者。一説には、カッパは間引きされて「川にお返しした」子の化身ともいわれています(たしかに特徴がなんとなく子供っぽいような)。老人は『デンデラ野』という姥捨てエリアに追われて、自活しながら死を待ちました。

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