この冬は大雪に見舞われた地域が多いですね。朝、玄関の戸を開けたら雪がドッサリ積もっていて門の外まで出られない、屋根の雪を下ろさないと家がつぶれる、家の周りの道路が雪深くて通行する車や人が大変…。でも、一軒家に住んでいるお年寄りにとって、一人で除雪するのはなかなか大変です。そこで、いろいろな地域で「雪かきボランティア」が活躍し、一人暮らしのお年寄りを助けています。

大雪のあとは、雪かきをしないと外に出られない…
大雪のあとは、雪かきをしないと外に出られない…

大雪が降ると一人暮らしのお年寄りは途方に暮れる…

朝起きて窓を開けたら、雪がドッサリと積もっている…。覚悟を決めて朝から雪かきです。玄関から門までをきれいにして、出勤の車を出せるように車を “発掘” して、家の周りの道路の雪をかいて…、その頃にはもう汗ビッショリで、下着を取り替えなければならないほどになります。そうです。雪かきはとても重労働なのです。
しかし、一人暮らしの高齢者は、足腰や心臓が弱っているので、きれいに雪をかくことができません。業者に除雪を頼むと、けっこう金額が高いし…。せいぜい、玄関から門までの数メートルに、人がやっと通れるくらいの幅の “けもの道” を作ることくらい。それでも雪はどんどん降ってきます。

多くの自治体で「雪かきボランティア」を募集、地域との交流に一役

そこで、雪かきができなくて困っている一人暮らしのお年寄りを助けようと、いろいろな自治体で雪かきのボランティアを募集しています。
金沢市では、雪かきを通じて地域との交流を深めようと、学生の部活動やサークルなどを対象に、グループ単位でボランティアを募り、町会などといっしょに雪かきを行っています。ボランティアに参加した学生からは、「地域の人たちと仲よくなれてうれしい」 「ありがとうと言われて充実感がある」などの感想が。若者と高齢者の交流に一役かっている例です。
新潟県では、除雪ボランティア「スコップ」を立ち上げ、主に高齢者世帯の家の周りや、道路などの除雪を行っています。
また、山梨県では11の自治体が雪かきボランティアを募集しているほか、滋賀県、福井市、苫小牧市、京都市、高崎市など、多くの自治体でも募集しています。
自治体だけでなく、大学でもボランティアを募集しています。たとえば、神奈川大学では毎年、新潟県長岡市小国地域での雪かきボランティアを募集しています。学生は現地で雪かきの講習を受けたあとに実際の雪かきを行うので、雪かきの経験がない人でも安心して参加できます。今年は2月12~14日の3日間、若者たちが“出動”します。

小樽の「雪かき選手権」でも、雪かきボランティアを実施

小樽で実施される、その名も「国際スポーツ雪かき選手権」。今年で第2回目を迎え、2月21日に実施されます。
豪雪地帯では、ご近所同士が力を合わせて毎日雪かきをしないと生活が成り立ちませんが、最近は町の高齢化と過疎化が進み、雪かきをする人が少なくなっています。しかし、雪かきをしないと道路が雪でふさがり、通行が危険になってしまいます(これは小樽だけの問題ではありません)。そこで、雪かきの担い手が減少している現実を知ってもらおうと、この大会がはじまりました。
大会当日の午前中は参加者全員がスコップを持って、細い坂道など除雪が困難な地域に行って、雪かきボランティアを行います。全員が一列になって次々と雪を排せつする様子は、まるでバケツリレーのようです。
午後からは、雪の山をスコップ2本とスノーカーと2台で10m離れたところまで運ぶ競技や、1時間で雪だるま作るコンテストなどが行われ、最後に懇親会で温かい料理がもてなされます。
会場には、雪遊びコーナーや飲食コーナーもあるので、競技に参加しなくても、雪国を楽しむことができます。
自治体が雪かきボランティアを実施すると、だいたいが60歳以上という場合が多いそうです。高齢者の家の雪かきをするボランティア自体が高齢化している現実…。
雪かきは雪国の生活には欠かすことができません。ここはぜひ、若い人たちの力を貸してほしいと願わずにはいられません。