京都府警が捜査する、京阪神に住む中高年男性が相次いで“怪死”した連続不審死事件。その渦中の67歳の女性・A子さんが本誌の独占取材に応じ、身の潔白を訴えた。この連続不審死事件が発覚したきっかけは、A子さんの夫、B氏(75)の“怪死”だった。

 当初、死因は心臓疾患ではないかとみられたが、京都府警捜査関係者がこう明かす。

「運ばれた時、Bさんの体全体が赤みがかっていた。司法解剖し、詳しく調べると、毒物、青酸化合物が検出され、事件性がある、と捜査に着手。調べると、A子さんが過去、結婚したり、交際していた高齢男性10人前後が“怪死”を遂げていたことがわかりました」

 A子さんは少なくとも過去4度、結婚し、いずれの夫とも死別していた。最後の夫である75歳のB氏とA子さんが婚姻届を出したのは昨年10月ごろ。A子さんは経緯を本誌にこう説明した。

「結婚相談所を昔、やっていた友人からの紹介で知り合った。そのころ、B氏は7年間、同居していた女性に逃げられた直後で、『逃げられるのはイヤ。結婚してほしい』と頼んできた。B氏の年金の額が少なかったので、あまり乗り気じゃなかったんやけど、彼の願望に押し切られ、結婚しました」

 だが、二人の結婚生活は2カ月あまりで終わりを告げた。

「確か、昨年10月くらいから二人は一緒に住みだした。『よくその年で結婚なんか』と私がBさんに言ったら、『ぼけていられない』と嬉しそうに笑っていたんやけど……」(B氏の知人)

 B氏の遺体が警察の検視から戻った今年1月4日、A子さんは葬儀を行った。そして翌日から京都府警に呼ばれ、連日のように事情聴取されたという。

「だって、家には2人しかおらんやろ。警察に連れていかれ、調べられて当然やん。1日6時間、調べられた。指紋を1時間かけてとられたり、ウソ発見器に2時間もかけられたり。完全に私が疑われていた。ウソ発見器では『人を殺しましたか』『毒物を入れましたか』という質問が流れ、イエスかノーと答えさせられた。人生ではじめてのことだが、潔白が証明されるはずやと思い、喜んで協力しました」

 毒物がB氏の遺体から検出されたことは、事情聴取の過程で知ったという。

「警察の取調室の机の上に書類が置いてあり『薬物』と書いてあったので、これで疑われているわ、と思いました。死体検案書にも“毒”という文字がありました。でも、私は今まで毒物に触れるような仕事をしたことないし、入手できるツテもない。ちゃんと調べてほしいわ」

(ジャーナリスト・今西憲之)

週刊朝日  2014年3月28日号

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今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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