東日本大震災とそれに伴う津波で起きた福島の事故を受けて、原発事故の影響がいかに過酷かを思い知らされた日本。にもかかわらず、廃炉に向けた道筋は一向に見えてこない。そんななか、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」が、国内50基の危険度ランキングを発表し、ひとつの方向性を打ち出した。

「原子力資料情報室」の伴英幸・共同代表、東芝で原子炉格納容器の設計者だった後藤政志氏、東洋大学の渡辺満久教授から、それぞれ意見を聞いたうえで、指標づくりや点数配分を決めた。

「これまで脱原発派の人たちは、順位が下のほうの原発は安全ではないかという、誤ったメッセージを発信することを恐れて、危険度ランクといった評価に立ち入らないようにしてきた。そこに今回、政治が踏み込んだことに大きな意義がある」(伴氏)

 ただし、活断層の上に立地している敦賀原発や、東日本大震災で被災した福島第一の5、6、福島第二の1~4、さらに2007年の中越沖地震で被災した柏崎刈羽の1~7号機などは、地震や津波の影響を受けたことで「再稼働は危ない」と判断。ランキングから外し、即、廃炉にすべしと提言した。

 危険度1位は大飯の1、2号機。続いて美浜1、3号機と、いずれも福井県にある関西電力の原発が占めた。さらに、運転から30年を超す「老朽原発」も関電管内には多い。一般に運転年数が長いほど、何らかの事故を起こす確率も高まる。

「ゼロの会」は、「ランキングはあくまでたたき台。今後、随時検討を加える。下位にある原発が安全というわけでもない」と強調する。

※週刊朝日 2012年7月27日号