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第38回 音楽劇『赤毛のアン』7年ぶりに再演なる!

文・谷川賢作

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『赤毛のアン』2008年兵庫県立芸術文化センター公演時のフライヤー

『赤毛のアン』2008年兵庫県立芸術文化センター公演時のフライヤー

この勇姿を見よ! 花子さんありがと~~(^o^) おバカなこともちゃんとやりなさいby 妻 (撮影/谷川恵)

この勇姿を見よ! 花子さんありがと~~(^o^) おバカなこともちゃんとやりなさいby 妻 (撮影/谷川恵)

『赤毛のアン』宝塚少年少女合唱団版は11月29(日)14時開演です! 

『赤毛のアン』宝塚少年少女合唱団版は11月29(日)14時開演です! 

 このところ毎回自分の活動ばかり「ほめちぎっ」とるやん。そんでええのん?というツッコミが聞こえてきそうな昨今でありますが、すみません、ほんとに毎度いろんなことやっていて、そのどれもが一人でも多くの方にご覧頂きたい企画ばかりです。太鼓判ぼむっ!(って自分で押す(^_^;)

 音楽劇『赤毛のアン』は2008年兵庫県立芸術文化センターからの委嘱作品で、思い出が走馬燈のようにかけめぐるなあ。しばらく思い出話にお付き合いください。

 まず主役級の、アンの育ての親のマシューとマリラが宮川大助・花子のお二方ときいてビックリ! 初手からやんわりと釘をさされる。「せんせ、あのな、ぼくたち芝居はちゃんとやるけど、うたはどうもあかんねん、こんな『音楽劇でござい~!』なんて言うおおまじめな舞台でうたったことあらへんし、せんせ、むつかしいの書くんやろ? うたえるとこだけうたうさかい、かんにんな」

 そしてもうお一方、アンの家庭教師のリンド夫人役は元宝塚歌劇団男役トップスターの汀夏子さん。こちらは今でもバリバリの現役の歌い手さん。「せんせ。私のソロにええ曲書かんと承知せんよ」の気魄を感じタジタジ。この関西を代表するお三方以外は、主演のアンを含め全員が一般公募の方々。このような混成チームで動き出し、最初はどう練習をすすめていいか不安で仕方なかったのですが、まずは公募で集まってくださった皆さんの熱意が半端ではなかったことと、もしかして私の曲がよかったのと(自分で言うな!(-_-;)練習するごとにどんどん歌声に魂が入っていくこの楽しさときたら。なんども言うけどこれが作品作りの醍醐味! そのうち大助さんも「せんせの曲、なんかいける気してきたわ。ええなあ」と、だんだんと芝居だけでなく歌にもノってきてくださって、しまいにはアンが歌うパートも一緒に口ずさんでくれたり(うれしいのですが、これにはちょっと困った(^_^;)、花子さんにいたっては「せんせ、あのな、わたし毎日朝一番に“発声”して、そんでまず歌から練習したいから必ずつきおうてな」ですと。そして花子さんからのサプライズも!「せんせ、マリーンズファン言うてたやろ。わたしボビー(バレンタインさん。当時のマリーンズの監督)と社交ダンス友達なんよ。サイン入りユニフォームプレゼントするわ」で、本当にもらっちゃいました。ただただ感謝感激雨あられ~(T_T)

 こんな事件もありました。主演のアンはトリプルキャスト。全7公演だったのですが、6公演めまでは3人が各2回ずつ主役を演ずるということで、最後の千秋楽のみ、3人の中からスタッフの推薦でやってもらおうということになっていたのですが、ここで気が弱いのに時々妙に強情な奴に豹変する私が事態を混乱させてしまう。

 最終的に、歌も演技も“天然系”で自分のことだけで精一杯で、まだチームで作品を作る意味もわかってないかな、という「お子様真っ只中」のAさんと、自分のやるべきことがしっかりしているのはもちろん、かつチーム全体にも目配りができる「おとなな」Bさんの二人が候補になったのだが、スタッフの全員がBさん推しなのに対し、私一人だけが「なにが起こるかわからないし、おもしろいからAさんにやらせてみようよ」と強引にAさんを推して決めてしまう。音楽監督の立場で上意下達でいっちゃったな。今にして思えばなんと独善的であったことか。大反省<(_ _)>

 そうしたらBさん。トイレにこもって泣きじゃくって出てこなくなってしまったのです。ごめんねBさん。昔のこととはいえ、なんかいまだに切ない思い出なのです。こんど会ったら笑い話で許してくれるかな(^_^; 

 さて、7年もお蔵入りしていたこの作品を再び世に出してくださったのは、お付き合いのある「宝塚少年少女合唱団」の皆様。特に芸文の公演の時「音楽助手」として付いてくださった笠原美保さんのご尽力なくしては、今回の公演は成立しなかったでしょう。心から感謝です。芸文公演に出てくれた当時小学生だった双子のY兄弟も、もう高校生。元気で宝塚の団員として今回も歌ってくれています。そういうところを目撃してしまうと、こどもの成長と時の流れを感じてつい落涙。

 公演は今月29(日)宝塚ベガ・ホールにて14時開演です。総勢30名越えの瑞々しい歌声が皆様を包みます。ぜひ見に来てください(^o^) [次回12/7(月)更新予定]


(更新 2015.11.16 )


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プロフィール

谷川賢作

谷川 賢作(たにかわ・けんさく)作/編曲家 ピアニスト

1960年東京生まれ。ジャズピアノを佐藤允彦に師事。演奏家として、現代詩をうたうバンド「DiVa」、ハーモニカ奏者続木力とのユニット「パリャーソ」に所属。また父である詩人の谷川俊太郎と、朗読と音楽のコンサートを全国各地で開催。80年代半ばより作・編曲の仕事をはじめ、映画「四十七人の刺客」「竜馬の妻とその夫と愛人」、NHK「その時歴史が動いた」テーマ曲等を手がける。88、95、97年に日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。2014年度船橋市文化芸術ホール芸術アドバイザー。音楽を担当した最新映画は「カミハテ商店」「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」。最新刊『げんきにでてこい』(カワイ出版)、最新CD『うたがうまれる』 谷川賢作オフィシャルサイトhttp://tanikawakensaku.com/