チャールス・ロイド・カルテット・ライヴ・イン・パリ1967&モア
チャールス・ロイド・カルテット・ライヴ・イン・パリ1967&モア

キースがソロで演奏するビートルズ・ナンバーが聴けます
Charles Lloyd Quartet Live In Paris 1967 & More (Cool Jazz)

 マイルスの新着音源が途絶えた隙をついて、マイルス関連ミュージシャンの新着音源をご紹介することになってン回目、今回もキース・ジャレットといきましょう。とはいえ発売は少し前になりますが、マイルス盤が混んでいて、遅れ遅れになっていました。そして、主役はいうまでもなくキース・ジャレットではありますが、リーダーはテナー・サックスのチャールス・ロイドです(あっ蛇足でしたね)。ちなみにカルテットのリズム・セクションは、ロン・マクルーアのベース、ジャック・デジョネットのドラムスという、ほぼいつもの顔ぶれ(ベースはセシル・マクビーの場合もあり、人気はそちらのほうが高いようですが、マクルーアも捨てたものではありません)。

 今回のハイライトは、最後に収録されたキース・トリオによる演奏です。しかもロイド・カルテットとはメンバーが異なり、ベースがガス・ネメス、ドラムスがボブ・ヴェントレロという、あまり知られていない顔ぶれによる演奏。そしてビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録されているジョン・レノン作《ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズ》が取り上げられているというのだから、これはたまりません。

 しかし、さんざん期待させておいて最後にトホホではあまりに罪つくりなので、最初にご報告しておきますが、《ルーシー》は最後の最後、フリー・ジャズの嵐が吹き荒れたあとにちょこっとだけ顔を出す程度です。演奏はキースのピアノ・ソロで、それはそれは美しいのですが、すぐにフェイドアウトしてしまうのです。まあ、それでも貴重な記録ではあるのですが、過度の期待は禁物でございます。それにしてもキースとはなんと天才的な音楽家なのでしょう。ただテンポを落として原メロディーを弾いているだけなのですが、これがもう立派に《ルーシー》のベスト・カヴァー・ヴァージョンになっているんですね。どうでしょう、キースさん。今年はビートルズ公式デビュー50周年ですから、ここで思い切ってビートルズのカヴァー集というのは。トリオでもいいでしょうが、意外やソロのほうが広がりがあるように思えます。ひとつ、真剣に考えていただけないものでしょうか。なお《ルーシー》が出てくる個所は、2枚目・3曲目の15分過ぎです。

 あとの演奏は、まあいつものとおりです。ロイドがクネクネと吹き倒し、キースがきれいに掃除をするというパターンが完全に確立されています。キース・ファンには見逃せない逸品として、ご紹介しました。それではまた来週。

【収録曲一覧】
1 Island Blues
2 Days And Nights Waiting
3 Love Ship
4 Sweet Georgia Bright
5 Twin Pearls
6 Lady Gabor
7 A Kiss To Build A Dream On/Lucy In The Sky With Diamonds
8 New Rag

1-6 : Charles Lloyd (ts, fl) Keith Jarrett (p) Ron McClure (b) Jack DeJohnette (ds)
1967/6/11 (Paris)

7-8 : Jarrett (p) Gus Nemeth (b) Bob Ventrello (ds)
1969/8/24 (Belgium)