

高橋真理子
(たかはし・まりこ)
プロフィール
ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネータ―。1956年生まれ。東京大学理学部物理学科卒。40年余勤めた朝日新聞ではほぼ一貫して科学技術や医療の報道に関わった。著書に『重力波発見! 新しい天文学の扉を開く黄金のカギ』(新潮選書)など
高橋真理子の記事一覧


「医学部か東大か」親と意見合わず3年間引きこもりも科学の道へ 女性公衆衛生学者がこだわる「命題」とは
「新型コロナクラスター対策専門家」というツイッターアカウントの「なかのひと」になった堀口逸子さんは、長崎大学歯学部卒、歯科医師免許を持つ公衆衛生学者である。昨年11月には、かわいらしい漫画がついた本『好きなものを食べてやせる食生活』(池田書店)を出版した。本を出したときは東京理科大学薬学部教授だったが、この3月で退職し、現在は非常勤の職を掛け持ちしながら「フリーの研究者」として活動する。内閣府食品安全委員会をはじめ政府の委員をいくつも務めてきた。「八面六臂の活躍」と形容したくなる、そのパワーはどこから湧いてくるのだろう。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)

初投稿日「偽アカ疑惑」にどう対処? 新型コロナクラスター対策専門家「なかのひと」公衆衛生学者の使命と挑戦
内閣府食品安全委員会の委員を務めていた公衆衛生学者の堀口逸子さんは、新型コロナのパンデミックが始まったときリスクコミュニケーションの最前線に立った。クラスター対策班で感染動向の分析をした西浦博・北海道大学教授(当時、現・京都大学教授)から、「若い人に情報を届けるのを手伝ってほしい」と頼まれたからだ。それならSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だと、旧知のエキスパートたちに声をかけてチームを作り、「新型コロナクラスター対策専門家」というツイッターアカウントの「なかのひと」になった。国家的緊急事態のなかで、研究者としてツイッター発信にどう取り組んだのだろう。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)

「かわいいは世界の争いをなくす」女性感性工学者 69歳 東大を出ても「女性は高卒待遇」から大学教授に
芝浦工業大学名誉教授の大倉典子さんは、「かわいい工学」の第一人者である。東京大学大学院の工学系研究科修士課程を修了して日立製作所の中央研究所に就職したのは、男女雇用機会均等法が施行される前。民間企業の多くは大卒女子の募集をしていなかった。給料も高卒扱いとは就職後に知ったのだという。そんな差別的な扱いを、労働組合も問題だとは考えなかった。はた目から見れば、社会の理不尽さに翻弄された20代である。そこから、大学教授として「かわいい工学」を創始して発展させるまで、どんな道を歩んだのだろう。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)

なぜ50歳を過ぎて「かわいい工学」を? 「日本ではB級グルメ的でも世界は認めている」芝浦工大名誉教授
芝浦工業大学名誉教授の大倉典子さんは、世界で初めて「かわいい」を研究対象にとり上げた工学者である。東京大学大学院の工学系研究科修士課程を修了して1979年に日立製作所の中央研究所に就職した。そこで進められていた植物工場の研究に興味を持ったからだ。入社試験は高卒向けを受けた。男女雇用機会均等法が1986年に施行される前は、民間企業の多くが大卒女子を募集していなかった。子どもの預け先が見つからなくて5年で退職、それから紆余曲折を経て芝浦工大教授になったのは45歳のとき。感性工学者として確かな歩みを始めたのは50歳を過ぎてからだった。それにしても、「かわいい工学」とは何なのか。そんなユニークな学問をなぜ始めたのだろう。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)




「いつも男の人を養っちゃう」女性物理学者が2度の離婚を経て手に入れた「恵まれているなぁ」と実感する日々
理化学研究所(理研)に勤める物理学者の大竹淑恵さんは、中性子(ニュートロン)という粒子を使って、橋や道路などのインフラの内部を「透視」する技術の開発をリードする研究者だ。自ら「遅咲き」という。30代後半から心身の不調に悩まされ、研究が軌道に乗ったのは50代に入ってから。60歳になって2度目の結婚に終止符を打ち、食生活を一新し、トレーニングにも励むようになった。これからも大好きな物理の研究を元気に続けたいからだ。今は仕事に、趣味に、充実した日々を送る。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)
