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●朝日新聞が一面トップ扱いの一方不自然さが目に付くNHK

 5月から6月のテレビは、この国で進む報道の「不自由さ」や「脆弱さ」を象徴するような内容だった。

 5月17日に朝日新聞が一面トップでスクープした「加計学園の新学部『総理のご意向』文科省に記録文書」。加計学園の新学部設置認可をめぐって内閣府が文科省に対して「『総理のご意向』だ」「官邸の最高レベルが言っている」などと迫った記録を報じたこの記事が口火を切った。だが実は朝日新聞の報道の元になった文部科学省の“記録文書”はNHKも入手していて別の形で報道した。16日の「ニュースチェック11」での「文部科学省の審議会 設置予定の獣医学部 “課題ある”」。審議会が定員や教員体制に課題があるという報告をまとめたと報道したのだ。だが「総理のご意向」という部分は黒塗り。加計学園という名称も出さず、一般の視聴者には不可解な報道だった。競合するマスコミに対して「自分たちは文書を持っているぞ」と示威するためだけの放送だった印象だ。

 加計学園の疑惑は、前川喜平前文部科学事務次官の言葉を借りるなら、忖度で「行政がゆがめられた」問題だ。さらに「報道もゆがめられた」実態も目に付く。

 朝日新聞が5月25日朝刊の一面トップで「総理のご意向」文書について前川氏のインタビューを掲載。同氏は担当課から同じ文書を提示されていたと証言した。同日午後に記者会見した同氏は、文書が「確実に存在」「なかったことにはできない」と明言。同日夜のTBSテレビ「NEWS23」も同氏の単独インタビューを放送し、文書は自らが保管していたものと同じ「本物」だと伝えた。

 一方、読売新聞は5月22日の朝刊で、前川氏の「『出会い系バー』通い」という私人のスキャンダルを大きく報道した。大手新聞のこうした姿勢について、テレビ朝日「モーニングショー」と「ワイド!スクランブル」は5月25日に批判的な視点で伝えた。同日のフジテレビ「直撃LIVEグッディ!」も「前川さんの人間性と証言の信憑性は別」(安藤優子キャスター)とコメント、どう捉えるべきか示唆しながら伝えた。

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