民主党政権時代に農林水産相を務め、TPPに反対して離党した著者が、人知れず脅かされている日本の食の安全について警鐘を鳴らす。

 種子法の廃止と種苗法の改正。ほとんど報道されることもないこの二つの動きの裏で、何が起こりつつあるのかを正確に把握している人がどれだけいるだろうか。

 除草剤と、それに対して耐性を持つ遺伝子組み換え農作物の種子を抱き合わせで売りつけるモンサント(現バイエル)をはじめとする多国籍アグリ企業。健康被害の告発等を通じてすでに崩壊しつつあるそのビジネスモデルが今、日本に押しつけられようとしている。

 安全性に確証が持てない作物を、私たちは気づかぬうちに口にしている。有機栽培へと向かう世界の潮流に、日本だけが逆行している現状を直視させられる。(平山瑞穂)

週刊朝日  2019年11月8日号