安い服だから1回で捨てていいや、食べ飽きたらあとはゴミ箱行きだ……私たちの日常の豊かさは、一皮めくればそんな消費と廃棄の高速サイクルに支えられている。それでいいのか。その背後に見えない形で横たわる労働問題も含め、2人の記者が現場で驚き悩みながら、「自分ごと」として模索するルポだ。

 問題の正解はどこにもない。例えば、古着回収などリサイクル店の繁盛は、「服を捨てない」ことで利用者の罪悪感を薄めても、逆に衣服の消費サイクルを早め、使い捨てを促してはいないか。

 ただ大量廃棄からの脱却への挑戦は、生き方の見直しにもつながっている。余剰パンを毎日捨て続けるスタイルをやめたら、労働時間が減り、心に余裕ができたという創業70年のパン屋の3代目のエピソードは示唆に富む。(中島鉄郎)

週刊朝日  2019年6月7日号