発達障害を抱えていた著者が、苦しい少年時代を乗り越え、不登校や中退で孤立する子どもたちの学び直しをサポートする「キズキ共育塾」を設立するまでを綴る。

 著者は幼少期から凄絶な生活を送ってきた。父親からDVを受け、12歳で家を出る。公園で野宿しながら中学校に通った。非行もあって偏差値40台の高校に進学。だが「地獄」から抜け出そうと猛勉強して難関大学に入り、一流商社に就職した。ところが発達障害の影響もあってうつ病になり、4カ月で退職。1年のひきこもり生活を経て、自分のように苦しむ若者を救いたいと進学塾を起こした。

 著者が本書で訴えているのは「何度でもやり直せる社会をつくる」こと。私たちに「もう少しだけ頑張ってみるか」と、一歩前に進む力を与えてくれる一冊だ。

週刊朝日  2018年11月9日号