雑誌「婦人公論」は女性をどのように語ってきたのか。創刊からの100年を振り返る試みだ。ベストセラー『負け犬の遠吠え』の著者が100年分の記事に目を通し、時代による言説の移り変わりを紹介する。

 創刊直後の「婦人と言えども人である」という言葉には隔世の感があるが、時代を超えて変わらぬ現実もある。昭和21年、男性議員からのヤジに笑顔を見せた女性議員がいた。「私はどんなに苦しくても泣くまいと決心したの。そしてそれを笑いにまぎらすくせがついた」と後に涙を見せた──ここから著者は平成26年の、塩村文夏都議へのヤジの一件に触れる。まったく同じ構図なのだ。

 家庭や仕事、性をめぐる男と女の本音は露骨だが、そこにこそ社会問題の根源があることを本書は教えてくれる。

週刊朝日  2018年8月31日号