東京都立川市にあり、600人強の児童がドーナツ型の園舎の屋根の上を走り回るふじようちえん。その園長が、ユニークな建築デザインの効能やモンテッソーリ教育に基づく子どもの育つ環境を語った。
 現在の園舎は2007年に完成。子どもたちがおのずと走り出したくなる楕円形の屋根は一体感を生み、仲間外れが起こりにくいという。その屋根を突き抜けて3本の大ケヤキが生え、子どもたちは登って遊ぶ。園庭でのイベント時、彼らは屋根の上に一周するように集まり、柵から足を投げ出して座る。また、砂場には定期的にきれいな石がまかれ、「昨夜は流れ星が多かったから」などと夢を広げつつ、見つけた石は持ち帰っていいとするのだ。園ではポニーが飼われ、誕生月になると乗せてもらえる。大人も心躍らせずにはいられない。

週刊朝日 2016年10月14日号