書評『パスティス』中島京子著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

パスティス 中島京子著

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すんみ書評#話題の新刊

 田山花袋『蒲団』をもとにした小説『FUTON』でデビューを飾った直木賞作家による渾身のパロディ小説集。「飲むマリファナ」ともいわれるお酒アブサンが禁じられ、その代用品として作られた「パスティス」。語源を辿れば「ごたまぜ」という意味がある。
 そんなタイトルを持つ本書には「桃太郎」、夏目漱石「夢十夜」、芥川龍之介「寒山拾得」、太宰治「富嶽百景」をはじめ、アンデルセン「裸の王様」、ケストナー「動物会議」など、古今東西の名作が著者の目線により新しく書き直されている。中には、森鴎外「舞姫」のモデルとなったエリーゼのインタビューや、1953年に初演されたベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」を、1935年に亡くなった坪内逍遥が翻訳をしたという突飛な設定もあるなど、あらゆる作品をユーモアに変える中島京子のすごさがうかがえる。
 時にはいじめ自殺や放射性物質、「女は産む機械」発言などの社会問題が巧みに織り交ぜられていて、単なる「代用品」としてのパロディに終わらない作者のオリジナルな魅力に富む一冊となっている。

週刊朝日 2015年2月13日号


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