畠山千春が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5

番外編

2014/08/08 19:42

 足跡や糞、食べかけの木の実たち……『アニマルトラック&バードトラックハンドブック』は、動物たちが山に残していくさまざまなサインから動物たちの姿を想像する、好奇心が刺激される一冊です。山にいる身近な動物の足跡が原寸大で描かれており、右端には目盛りが印刷されています。ツキノワグマの足跡の大きさには思わずギクリ。初心者でも分かりやすく、持ち運びに便利なので山歩きに重宝すると思います。この本と一緒にお子さんと山へ行ってみませんか。
 私が小学生だったころ、夏休みに山にキャンプへ行ったとき道で轢かれた動物を見たことがありました。あのあと動物たちはどうなってしまったんだろう? そんな疑問に答えてくれるのが『死を食べる』。一つの命が虫や小動物たちに食べられ、土に還っていくまでを写真で丁寧に解説しています。動物たちが死んでいく姿にドキッとする瞬間もありますが、山の中でひっそりと行われていく「死をスタートに命が繋がれていく」様子をしっかり追うことが出来る、貴重な一冊です。私たちはみんな、死を食べて生きているのです。
『我が家にミツバチがやって来た』は、蜂を飼い始めたときに読んだ養蜂のバイブル。ニホンミツバチの習性から巣箱の作り方まで細かく紹介されています。ミツバチは不思議な生死の感覚を持っていて、働き蜂は巣を襲う敵を一度でも針で刺すと死んでしまいます。それは、子孫を残せない働き蜂が生き残るより、自分の命と引き換えに巣を守り、自分と同じ遺伝子を持つ女王蜂に、より多く子どもを産ませるほうが自分の遺伝子を残せるからなのだそう。生きものたちの生き方に触れる度に、人間の「生きる」「死ぬ」という感覚も、多様な生き様の一つでしかないのだろうなと感じます。

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