ウィズ・ザ・ビートルズ

話題の新刊

2012/12/27 17:07

 「僕は日本武道館でビートルズを見た、生き残りのひとりである」と記す著者は、ロック雑誌「ロッキング・オン」の創刊メンバーであり、元プロ・ミュージシャン(これが肝心)の作家だ。本書は、ビートルズを音楽の「北極星」と位置付ける著者が、そのアルバム14枚を、自らの青春を織りこみ語ったもの。上質の文章。鵜呑みにしてよいデータ&エピソード。マニアから小学生までが楽しめる読み物となっているが、当時ビートルズに無知無理解な輩共への「怨念」は深く、ときに古傷(ページ)から血が噴きだす──「しかし、僕達は負けなかったのだ」。それだけビートルズが著者の思春期の「肉と霊」だからだろう。
 著者は、ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンにインタビューした際、「僕の父はギャング・スターで、僕もそうなっていたかも知れません。だけど、ビートルズを聴いて、拳銃を撃つよりもギターを弾くほうが素晴らしいということを知りました」と語る。そのウエットでいて「すっとぼけた」表現こそが、まさにビートルズ流だ。

週刊朝日 2013年1月4-11日新春合併号

ウィズ・ザ・ビートルズ

松村雄策著

amazon
ウィズ・ザ・ビートルズ

あわせて読みたい

  • 労働者階級の出身じゃなかった? 英国の歴史から読み解くビートルズ

    労働者階級の出身じゃなかった? 英国の歴史から読み解くビートルズ

    BOOKSTAND

    8/14

    ザ・ビートルズ日本公演50周年記念 日本に滞在した5日間のドキュメント発売

    ザ・ビートルズ日本公演50周年記念 日本に滞在した5日間のドキュメント発売

    Billboard JAPAN

    5/23

  • ビートルズ解散後のソロ活動全貌をまとめたムック本発売

    ビートルズ解散後のソロ活動全貌をまとめたムック本発売

    Billboard JAPAN

    3/23

    ビートルズ来日50年 「シェー」をするジョン・レノンの衝撃

    ビートルズ来日50年 「シェー」をするジョン・レノンの衝撃

    AERA

    7/8

  • “日本でのビートルズ現象”が詰まった書籍『「ビートルズと日本」熱狂の記録』3/31にリリース スペシャルイベントも開催

    “日本でのビートルズ現象”が詰まった書籍『「ビートルズと日本」熱狂の記録』3/31にリリース スペシャルイベントも開催

    Billboard JAPAN

    3/15

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す