書評『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル著/神崎朗子訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル著/神崎朗子訳

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永江朗#ベストセラー解読

スタンフォードの自分を変える教室

ケリー・マクゴニガル著/神崎朗子訳

978-4479793632
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ダイエットがうまくいかない理由

 ダイエット本や英会話本はベストセラーの定番だ。次から次へと“画期的な方法”が提案される。しかし長続きする人は少ない。画期的な方法よりも、挫折せずに続ける方法を教えてほしい……。
 と思っていたら、すばらしい本が登場。『スタンフォードの自分を変える教室』である。著者のケリー・マクゴニガルは米国スタンフォード大学の心理学者。意志力をどのようにコントロールするかをテーマにした講義は大人気で、本書はその書籍化である。
 最新の心理学や脳科学などの成果をもとに、どうすれば続けられるか、どうすればやめられるかを考える。「へえ、なるほど」と納得する話や、驚く話が満載だ。
 たとえば、人は何かほかのことに気を取られていると、意志をコントロールできなくなる。ストレスも意志力を弱める。仕事や人間関係でくたびれているときに、テレビを見ながら食事をしたり酒を飲むのは最悪だろう。
 サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう、という話が出てくる。ニューヨーク市立大の研究だ。健康によさそうなものがメニューにあると、それを見ただけで達成感を得て、本能が求める高カロリー食に手が出てしまう、ということらしい。人は「よいことをすると悪いことをしたくなる」のだと著者はいう。まだやってもいないことをやった気になり、自分へのご褒美だけはちゃっかり現実に、というメカニズムだ。
 ぼくたちは自分が思っているほど理性的でもなければ賢くもないらしい。人類がヒトになる前の、常に飢えていた時代の記憶が、脳の中で眠っている。それが疲れたときや、強いストレスにさらされたときなどに目覚める。
 「体重を減らす方法としては、ダイエットはまったく役に立ちません」と著者はいう。ほとんどの人はリバウンドするし、体重の増減を繰り返すことで病気になる危険も高まる。では、どうすればいいのか。それは本書を読んで……。

週刊朝日 2012年12月21日号


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