「海」という視点でとらえた世界の縮図のような宗教世界 写真家・田川基成 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「海」という視点でとらえた世界の縮図のような宗教世界 写真家・田川基成

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島を出る日、福江~長崎航路(撮影:田川基成)

島を出る日、福江~長崎航路(撮影:田川基成)

 写真家・田川基成さんの作品展「見果てぬ海」が11月17日から東京・新宿のニコンプラザ東京 THE GALLERYで開催される(大阪は2021年1月21日~1月27日)。田川さんに聞いた。

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南米を旅するうちに「すごく長崎を思い出した」

 作品の舞台となったのは田川さんの故郷、長崎県の西に浮かぶ松島を中心とした半径約50キロの地域。松島は西彼杵半島の沖約1キロにある人口500人ほどの小さな島。中学時代は町営船で対岸に渡り、学校へ通った。沖に目を向けると、「常に五島列島が海の向こうに見える。そういうところで生まれ育ったんです」。

 自分の故郷に根づいた独特の宗教文化をはっきりと意識し始めたのは6年前。はるか地球の裏側、南米を訪れたときだった。

「アマゾン川を船で旅したとき、点々と視界に入ってくる岸辺の集落に教会があることに気づいたんです。ペルーのアンデス山脈、チリのフィヨルドの島々の村にも木造の小さな教会があって、すごく長崎を思い出した。長崎の海辺にある小さな教会に似てるな、と。それがきっかけで帰国後に長崎の歴史を調べているうちに、とても面白い場所だなと、自分のふるさとを改めて認識したんです」

 フランシスコ・ザビエルが九州に渡来し、キリスト教の布教を始めたのは室町時代末期の1549年。

「南米にキリスト教が伝わったのも同時期なんです。スペインとポルトガルが布教と植民地化、貿易をセットで。地球の反対側だけど、海を通じて同じような歴史を共有していることに気づいて、すごく興味が湧いてきた。これをきっかけに自分のふるさとを旅して、海をテーマに作品をつくってみよう、と思ったんです」

 世界中を旅してきた田川さんの実に身近な場所に見知らぬ世界が広がっていた。新たな旅が始まった。

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