転機は27歳。新たにクロスフィットトレーナーとしての1歩を踏み出したころだった。

「たまたま流れてきた動画でランジェリーブランドであるVictoria’s Secret(ヴィクトリアズシークレット)のショーを見て、モデルに対する考え方が変わったんです。割れた腹筋、筋張った脚、日本では嫌われるような身体のモデルたちがトップモデルとしてランウェイを歩いているのを見て、驚いたのと同時に自分が肯定された気持ちになりました。世界で結果を出しているモデルたちの体形を見て『日本の業界の価値観に縛られず、自分らしさを追求しよう』と思えたんです」

 AYAさんのスタイル確立を追うように、ここ数年で女性の志向にも変化があったという。

「以前は『ただ痩せたい』『細くなりたい』というお客さんばかりでしたが、今では『腹筋に筋を入れたい』『強くなりたい』と求める人が多くなってきた。日本の女性にも筋トレやフィットネスの文化が定着してきていると感じています。SNSで鍛えた成果をアップする女性も増えていますし、数年前まではいかにも“スポーツ用途”なデザインしかなかったフィットネスウェアが、今ではカラフルでかわいい商品がたくさんある。そういった商品の変化でも時代が変わってきたことが分かります」
 
 平日は5時に起き22時には就寝、毎食徹底して栄養を意識し自炊。好物のパンケーキも土日の「チートデイ」のみというストイックな生活を何年も続けている。緊急事態宣言以降、在宅ワークが続き、孤独や倦怠感を抱いている人も多いだろう。心身ともに制限された生活のなかでモチベーションを保つにはどうすれば良いのか。

「秘訣は、一日のサイクル作り。私は在宅でも工夫して活動量を通常生活に近づけるようにしています。そのためには1日のスケジュールをこれまで通りこなすことが重要。掃除でも料理でも必ずスケジュール化しています。そして外出しない分、トレーニング内容や室内での移動に負荷をかけるよう気をつけています。例えば、私は普段5時に起きて、5時半にはジムのドアを開けていましたが、休業に入った今でも6時に起きて、すぐに30分間ルームランナーでジョギング。朝食後にオンラインクラスのレッスンをして、終了後は自分のトレーニングに移っています。自粛後しばらく試行錯誤しましたが、自分のサイクルができあがってからはメンタルも安定しましたし、モチベーションも保てています」

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