メキシコで自警団からもらった顔隠し用のスカルマスク。日本に戻ったら使いみちがまったくのゼロだった…
メキシコで自警団からもらった顔隠し用のスカルマスク。日本に戻ったら使いみちがまったくのゼロだった…

 世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】ゴンザレスが恐れる「集団埋葬地」とは…

■マスクの用途は人それぞれ

 新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクはいまやマストアイテムである。ちなみに私は花粉症と鼻炎持ちなので、今回に限らずマスクを着用することは多かった。ありがたいことに最近では公共の場で「丸山ゴンザレス」だと気づいてもらえることも増えてきたので、トラブル防止の意味でも着けていた。

 マスクに対して特別な思いはない。だが、社会のマスク不足をうけ、先日、なんとなしにTwitterで、メキシコの麻薬カルテル取材で現地の自警団からもらった「顔を隠すためのスカル柄のバンダナ」の写真をアップした。それが冒頭の写真である。フォロワーからは「いいマスク」といったコメントをいくつかいただいた。

 あくまで個人的な見解だが、これまでのマスクの使い方は、世界的にみても「顔を隠すため」というものが多かったと思う。メキシコの他にもジャマイカ、ブラジル、アメリカ・ロサンゼルス、南アフリカなど、各地で出会ったギャングたちは、みんなバンダナで顔を隠していたからだ。特にロサンゼルスのギャングは、それぞれチームカラーが決まっているので、バンダナは必須アイテムなのである。

 さすがにいきなりギャングを例にしても、実感が湧かないかもしれない。それなら日本の芸能人はどうだろう。彼らにとってマスクは“お忍び”外出での変装アイテムの定番である。実際、私と交流があったり、取材で出会ってきた芸能人は高確率でマスクを装着していた。

 それが、今回の新型コロナウイルスの影響により、「飛沫を飛ばさないようにする」というマスク本来の需要が急激に高まった。当然マスクは品薄になる。

 先週、ロサンゼルスの友人から、「日本がこれからニューヨークのようにならないか心配です」というLINEが届いた。心配してくれるのはありがたい。だが、そもそも彼の奥さんは医者である。こちらとしては、そちらのほうが心配である。

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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