世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

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このデザインが秀逸だと思っていたのに、まさかダサい前提でデザインされていたなんて…
このデザインが秀逸だと思っていたのに、まさかダサい前提でデザインされていたなんて…

■あえて“ダサいセーター”を着るカオス

 数年前の冬、衣類の買い出しにアメリカ・ニューヨーク州のデパートを訪れていたときだ。当時は暖冬だったこともあり、日本を発つときにあまり寒さ対策をしてこなかったのだ。消費大国であるアメリカで入手できないものはない。旅の荷物が少なくなるようにと、必要なものは現地で購入しようと考えていた。私のようにラージサイズを愛用する大柄な者でも、アメリカは選び放題なのだ。

「お客様、もっと小さいサイズのほうがいいのではありませんか?」

 こんなことを言ってもらえる数少ない国が、アメリカである。

 さて、そんなアメリカのデパートで出会ったのが、写真のセーターだ。イエティと呼ばれる雪男が、クリスマス柄のパンツをはいたデザインである。こんなものを誰が買うのかと思う人もいるだろう。これは「アグリー・セーター」と呼ばれるものだ。日本にはまだ浸透していないかもしれないが、醜い、ダサい(ugly)セーターをあえて着る習慣が、この10年ほどアメリカなどで定着しているのだ。理由は諸説あるようだが、もともと欧米では「おばあちゃんの手作りセーターがゴテゴテのクリスマス柄でダサいけど、捨てるわけにもいかず、仕方なくクリスマスが近づくと袖を通す」という経験を、たいていの人が体験している。それをあるテレビ番組がネタにしたところ、人気に火がついたそうだ。

 実は、日本でもアグリー・セーターを手にすることはできる。H&Mなどの海外ブランドが発売しているからだ。もしかしたら今年は、アグリー・セーターを着てパーティに参加する人が日本でも現れるかもしれない。

 さて、そんななか私にとって問題だったのは、アグリーなデザインが普通に「あり」だったことだ。あのイエティのデザインを見たとき、「やべえ!カッコいい!」と普通に思ってしまったのである。まあ、いまさらファッションセンスがどうとか、僕は気にしませんけどね。(文/丸山ゴンザレス)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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