アフリカゾウ チョベ国立公園付近(ボツワナ共和国)■オリンパスOM‐D E‐M1 MarkII・M.ズイコーデジタルED 40~150ミリF2.8 PRO・ISO200・絞りf4・800分の1秒
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アフリカゾウ チョベ国立公園付近(ボツワナ共和国)■オリンパスOM‐D E‐M1 MarkII・M.ズイコーデジタルED 40~150ミリF2.8 PRO・ISO200・絞りf4・800分の1秒

 これはアフリカゾウの群れが川を渡り、ちょうどこちらへ向かってくるときの一枚だ。15頭ほどの群れが水からあがり、僕たちを避けるように左右に通り過ぎていく姿は迫力そのものだった。ゾウたちの耳が体に当たり風を感じるほどの音、水をかきあげる音、大きな鳴き声……群れになるとゾウの体臭や熱気もかたまりとなってこちらへ迫ってくる。ドライバーが思わず「おぉ……」と横で声をあげた。

 この一枚を撮れたのは運がよかった。川の向こう側にゾウの群れがいるのを見て「川を渡る」と思い、当てずっぽうでこの場所に車を止め、息をひそめて待つこと15分……。真っ正面に彼らが現れたのだ。ズームレンズをワイドにし、画面いっぱいに彼らを収めた。僕の背後にあった樹木の影がいい具合に落ち、画面の左右でコントラストが出たのもよかった。

写真・文=岩合光昭

※『アサヒカメラ』2019年12月号より

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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