濱田英明に学ぶ 魅力的な「子ども写真」のアプローチ

自宅のそばで通学時に撮影。ありふれた日常のなかで、子どものたたずまいは輝いている
【子どもの遊びをアクセントにした1枚】
「家族の写真をわざわざ人に見せるというステップに入ったとたん、自分たちのためだけの写真の段階から抜け出さないと、と考えたんです」
濱田英明さんが自分の子ども作品を発表しはじめたころは、まだプロの写真家ではなかった。SNSが盛んになってきた時代で、画像共有サイトで発表し多くの反応を得て確信を深めていたという。
「僕が撮った写真を見る人がいかに自分のことのように置き換えて感じてくれるかがすべての基本です。親子の関係はもともとある。その次のとても大切なレイヤーがパブリックな視線を持ち、共感を得ることなんです」
濱田さん流のクリエーティブプロセスを3段階に整理してみた。
[その1]パブリックな視点を持ち、共感を得る
○見る人が「自分の物語」に置き換えられるように
○よその子どものように撮る
[その2]子どもたちがいる空間をつかむ
○とにかく一歩下がる。ベストと感じた場所から引いて撮る
○周囲の環境をさりげなく取り込む
[その3]7の段取りと3の偶然で
○偶然に起きることを尊重し、ロケハンは基本しない
○カメラを離さず子どもたちにゆだねる
[その1]を揺るがない土台に。その上で画面づくりを工夫([その2])し、それぞれの撮影機会[その3]へと至る。まずはこの流れをしっかり把握してほしい。
〈子どもをどう撮るか? 初級編〉
「真顔からはじめてみる」
「子どもの要求は満たして」
「きまりの後がねらい目」
■最高の一瞬でなくていい
とにかく子どもはじっとしていないもの。これだ!とレンズを向けると、お決まりのピースサインが返ってきてしまうなんてこともある。
「子どもがしたいことをやめてもらうことはないですよ。そこは実際撮れば思い出の写真にもなりますから(笑)」

劇的な表情をとくに追わず、真顔を素直に写す
「そもそも劇的な瞬間を撮りたいわけじゃないんです。泣いたり笑ったりしているときじゃなくていい。それだけにとらわれると、むしろ難易度が上がると思います」
親が見たい表情と写真を見る人が共感をおぼえる表情はちがうものだ。実は真顔のほうが、子どもの写真としてはありふれていない。

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