上智大国際教養学部の業種別就職状況(「就職力で選ぶ大学2018」から引用)
上智大国際教養学部の業種別就職状況(「就職力で選ぶ大学2018」から引用)

 ビジネスの国際化が進む中、実践的な英語力やコミュニケーション能力を身につけられる国際教養やグローバル系の学部が増加している。いくつかの大学に注目し、教育内容や就職動向を探った。現在発売中のAERAムック「就職力で選ぶ大学2018」(朝日新聞出版刊)からお届けする。

【表】立教大と大阪学院大の業種別就職状況はこちら

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 上智大学は、2006年に比較文化学部を国際教養学部として改組した。半世紀以上前に創設された国際部がルーツであり、伝統的に留学生が多く、授業もすべて英語だ。国際展開する企業はそうした環境で育成される人材を求めており、大学だけでなく、学部や教員にも直接的にアプローチがあるという。

「国内の進学校出身で留学経験ゼロという場合、最初は英語で苦労するかもしれませんが、そのぶん得るものは大きいですよ。海外で映画製作に携わりたいなど、明確な目的を持つ入学者が多く、その夢の実現途上にある卒業生も珍しくありません」(国際教養学部の上西順子准教授)

 そのせいか、国際教養学部の学生は同大学のキャリアセンターが提供する就職支援プログラムを利用する割合が他学部に比べて低いという。

「目的意識に加えて自立心も強いので、自分で就職先や大学院を探して自らアプローチしているようです。中には一斉就活を避けて海外に長期旅行して人生を考えるというケースもありますね」 (学生局キャリアセンター・刀禰かおりチームリーダー)

 3年前に、卒業生の組織的なネットワークが発足。その活動や人脈も、OB・OG訪問などの就活をバックアップしていると考えられるだろう。

 英語だけではなく、日本語の論理的思考力・発信力を鍛えるカリキュラムで、実社会で必要なコミュニケーション力を培うのが、立教大学異文化コミュニケーション学部だ。原則として全員参加の海外留学研修を実施しているほか、5年間で学士と修士の二つの学位を取得できるプログラムもある。グラフのように業種別就職状況の上位はメーカー、金融・保険、情報がトップ3。世界を市場とするボーダーレスな産業が中心で、国際教育や英語教育の成果が反映されている。

 一方、大阪学院大学国際学部の業種別就職状況は、卸・小売業、サービス業が圧倒的に多く52%に達する。もともと実学重視が理念の大学であり、インバウンドによる国内の国際化を強く意識したグローバル系学部といえるだろう。語学力、国際感覚を養う留学プログラムも実施している。(笠木恵司)

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【表】立教大異文化コミュニケーション学部の業種別就職状況