※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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うつぶせで寝るとシワが増える――。それを裏付ける研究論文があり、寝ている姿勢がシワの形成に大きな影響を及ぼすことが示されているそうです。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が解説します。

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 シワの予防はアンチエイジングにおいて基本の対策です。目の横のシワが増えれば、気になりますし、口の周りのシワは年齢を感じさせます。増えてしまったシワに対して、ボトックス注射をする人もいれば、ヒアルロン酸を注射する人もいるでしょう。どうしても年齢にはあらがえないシワの出現ですが、ちょっとした努力でシワの増加を防ぐことができます。

 シワの原因は年齢以外に、日焼けがあります。そのため、シワを増やさないようにするには、できる限り紫外線を浴びないことです。たとえ窓ガラス越しでも、UVAは肌にダメージを与えます。できる限り紫外線は浴びないほうが良いのは、シワ予防の大前提です。

 しかしそれだけではありません。実は、寝ている姿勢がシワの形成に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

 最近の研究によれば、寝ている間に顔の位置が枕に対してどのようになっているかが、顔の皮膚に悪影響を及ぼし、シワができる可能性があることが報告されました(文献1)。顔の皮膚に繰り返し、長期的な緊張がかかると顔のシワが発生します。人差し指でほっぺを押し付けるように、皮膚を顔の筋肉の方向と垂直に押したり引いたりすることがシワの原因になるのです。つまり、長い時間、顔に圧迫が続くとシワの原因になるのです。

 特に、うつぶせに寝ると、顔の皮膚が枕に押し付けられ、これがシワをつくる原因となりえます。論文では、うつぶせで寝るのがもっともシワができると示されています。寝ているときは、なるべく顔の皮膚に圧迫がかからないのが重要なのです。

 どうしても、顔を枕に押し付けて寝るのがやめられない人には、圧力を分散する枕をおすすめします。論文では、うつ伏せ専用のシワ防止枕を使用することで、顔のシワを増やさずに済むことがわかりました。この枕は、睡眠中に頬、目、口への圧力を減らすように設計されています。実際、28日間この特別な枕で寝ると、使用前に比べ顔全体のシワが約12%減少したとの結果が出ています(文献1、2)。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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