「女子は理数が弱いという思い込みを捨てれば、もっと可能性が広がる」と、理系教育に力を入れる昭和女子大学付属昭和中高の真下峯子校長。その情熱の根っこは、幼いころの植物や動物への関心にあった。理科の面白さを追い求めてきた真下先生のこれまで、そしてこれからの教育への思いとは。

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■生き物の不思議にひかれ、生物学科へ

――先生ご自身は子どものころから生き物に興味があったそうですね。

 小学生のころから、植物や動物が好きでしたね。自然の現象について、母親にいつも「どうして、どうして」と聞いていました。母親の影響も大きくて、夏休みの自由研究を一緒にやっていました。小学3年生の担任が理科の専門の先生で、自分の研究についていろいろ話してくれ、ますます理科に興味を持つようになりました。

 高校の生物の発生の授業で、カエルの卵の原口背唇部という部位が中に入り込んで神経になると教わり、何でそうなるのか不思議でしょうがなかったんです。

 今でいうiPS細胞なんですね。運命が決まっていない細胞が、何かのきっかけで髪の毛や皮膚になる。その仕組みが不思議で、もっと勉強したいと生物学科に進みました。

――奈良女子大に進学されました。

 学びたい発生学の研究が進んでいるのは、京都大や大阪大でした。たまたま奈良女子大に母親の知り合いがおり、奈良女子大ならと許されたのです。関西まで行けばなんとかなるだろうと(笑)。

 奈良女子大では京都大や大阪大の先生も教えていました。オープン講座もあって、京都大や大阪大に出かけて授業を受けたりもしていました。大学院の特論は学部の学生も聴講できるのですが、一流の先生が最先端の研究を講義してくれる。感化されましたね。

――その後埼玉に戻られ、教職の道に入られたわけですね。

 事情があって、埼玉の実家に戻ることになりました。でも、生物のことは好きでしょうがない。何も持っていないとカエル好きの変わったお姉さんですが(笑)、学校の先生になれば堂々と生物に関われると。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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