国際ロマンス詐欺に引っかかった女性の話などを読んでいて面白いのは、「これが日本人男性だったら、絶対に返信しない」という人が多いことだ。SNSを通して出会った男性に7500万円を奪われたマンガ家の井出智香恵さんも、「日本人男性だったらこうはならない」とその被害を語るドキュメンタリーで強調されていた。裏を返せば、日本人の男は女に優しいことは言わない、日本人の男にここまでメロメロにならないことを知っているからこその「日本人男性には詐欺られない」自信なのだろう。だいたい日本人の若い男性が年上の女性に関心を持つこと自体がレアすぎるケースなので、最初から強く疑ってかかれるというものだ。

 もはや国際的な定説のように語られているが、「日本人男性は女性にモテナイ」(私が言っているのではありません。世界が言ってます)。女性の恋人に「母親」を求めてくるとか、AVの見すぎなのかセックスが乱暴だとか、女性に幼さを求める幼さがイヤ……といった具体的なクレームがネット上ではいくつも転がっている。「飲み会で下ネタを言う日本人のビジネスマンが多くて驚いた」「ビジネスの席で女の私には一度も目を合わせず、話しかけもしなかった」とは海外の友人に実際に聞いたことだが、親密な個人的な関係でも、ビジネスの場でも、日本人男性は女性に関する振る舞いで問題が多いのかもしれない。そしてそれを大して問題だとも感じていない問題を解消することを、この国の女たちは既に深く諦めてしまっているのだろう。国際ロマンス詐欺の背景には、そんな日本人男性の問題が隠れていたりはしないだろうか。

 統一地方選、前半戦が終わった。今回、個人的にザワザワしたのは神奈川県知事選だ。投開票日直前に、4回目の当選を目指す県知事・黒岩祐治氏のスキャンダルが報じられた。過去につきあった女性の告発をもとに書かれた記事だったが、なかなかのグロテスクなものだった。自分が欲しいAVの新作を女性に買うように命令し、かなえられないと不機嫌になり、セックスの時はAVを見続け、いざ自身が達する瞬間に女性に挿入してくるということが細かく記されていた。黒岩氏は前回の知事選の時より大幅に票を減らしたとはいうが、それでも圧倒的強さで当選している。そのくらい他の候補者が弱すぎたということなのだろうが、黒岩氏の振る舞いを「絶対に許せない」とまで感じる人が少なかったのだろう。妻を裏切ることも、セックスの時にAVを欠かさないことも、出世のためには女を簡単に切ることも、知事としては問題のない行為とされているのかもしれない。そのくらい、この国の男の人は甘やかされ、許されているのだ。

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「男なんてそんなもの」という諦め