プロダンサーのマリーナ・アマウリさん(撮影/上田耕司)
プロダンサーのマリーナ・アマウリさん(撮影/上田耕司)

 日本で小学校に通うだけではなく、ウクライナの小学校のオンライン授業も受けている。ウクライナとは7時間の時差がある。

「オンライン授業を受けるのに、時差はちょうどいいんですよ。息子が学校から帰ってきて手を洗って、着替えてから週3回、オンライン授業を受けています」

 ウクライナ現地の学校の教師からウクライナ語や算数などを教わっているが、こちらでも授業は苦労しているという。

「授業中に戦争の警報が鳴り、『隠れましょう』とテレビ(モニター)から流れ、授業が中断することがほとんどです。落ち着いたら、先生が『オンラインに戻ってください』と伝える。中断したまま授業が終わってしまうこともよくあります」

 母親のそばにいるグレゴリーさんに「友達はできましたか」と聞くと、「同じ学校の上級生の日本人で1人だけできた」とウクライナ語で答えてニッコリした。

 歌手の木村カエラさんや安室奈美恵さんのバックダンサーを務めたこともあるというプロダンサーのマリーナ・アマウリさん(40)は、ロシアのウクライナ侵攻前から横浜市に夫と住んでいる。

 昨年3月末、ウクライナの都市ザポリージャから避難してきた両親を迎えた。同都市には原子力発電所があり、ロシア軍の攻撃を受けた。

「もう1年、両親と暮らしています。4歳半になる娘は、いつも祖父母と会えるから楽しいし、幸せを感じています。でも、私の妹夫婦はウクライナに残っています。妹はいつも玄関のところで寝ている。爆撃の振動でドアが開かなくなると困るので、寒いのに部屋の窓やドアを少しずつ開けているのです」

 マリーナさんも、日本財団から生活費の支援を受けている。

「家族3人で暮らすのと5人で暮らすのとでは、水道代、電気代、食費などが全然違う。だから、生活費の支援は本当に助かっています。両親のような年配の人が日本語を覚えるのはすごく大変だし、どこかで仕事をするのは難しいですから」

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「自分だけ安全なところにいる罪悪感」