講演するパソナグループの南部靖之代表=2021年7月13日
講演するパソナグループの南部靖之代表=2021年7月13日

 と回答。3市に対しては、

「すみやかに(過大請求した金額を)返還したい」

 と答えた。再委託先のエテルの責任が重大だとして、損害賠償請求や刑事告訴についても視野に入れているという。

 ただ、予約電話がつながらず混乱したことについては、

「電話がつながらなかった市民の方々もいらっしゃると想定され、大変申し訳なく思っております」

 と回答。「電話がつながらず苦情が来た」と憤る自治体との温度差は大きかった。

 パソナは、国や自治体の人材派遣業務を多数受注する大手だが、関西圏では不祥事が続いている。2017年には大阪市大正区、2019年には大阪府八尾市で、いずれもパソナが窓口業務を請け負って派遣したスタッフが、公金を横領した事件が明るみに出た。

 コンプライアンスに詳しい元東京地検検事の郷原信郎弁護士はこう話す。

「パソナの人材派遣業務で不祥事が続いているということは、コンプライアンス意識に欠けているとしか言いようがない。今回は、詳細に調査して公表し、二度とないようにする事後対応が不可欠だ。 パソナには最初から十分なオペレーターを確保できる認識があったのかどうか。自治体はそこをチェックして、今後の対応を決めるべきだ。パソナが返金するのは当然です」

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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