さて、在宅勤務や時差出勤、外出自粛や感染対策など、コロナパンデミックが私たちの生活にもたらした変化には様々なものがあります。特に、食生活や生活リズムの変化、運動習慣の減少や喪失、体重増加など体調の変化を経験した方は少なくないのではないでしょうか。

 コロナパンデミック直後からワクチン接種が普及するまでの間だったと思います。「在宅勤務になり、全く運動しなくなった」「どんどん体重が増えていく……」「コロナの流行をきっかけにジムを退会して、今は何もしていない」「在宅勤務になって、無意識にお菓子を食べてしまうことが増えた」「在宅勤務になってストレスはないが、なんとなく気分が落ち込むことも多い気がする」かかりつけの患者さんに「調子はどうですか」とうかがうと、このような回答を得ることが多かったことを覚えています。

 しかし、コロナワクチン接種が対象世代に十分に普及した頃からでしょうか。「コロナが心配だから、外出や運動はまだ控えようかと思う……」とおっしゃる患者さんも依然としていらっしゃる一方で、「ジムに再入会した」「中断していたランニングを、また始めることにした」「通勤しなくなった代わりに、ウォーキングを始めました」と運動を再び始める方や、新たに運動し始める方が徐々に増えてきたのです。

「健康診断で生活習慣に関連した数値が引っかかった」「産業医に体重増加と肥満を指摘されてしまった」「今まで着られていた服がきつくなった」「体力が落ちた気がする」など、きっかけや動機は様々でしたが、大なり小なりコロナパンデミックをきっかけに生活習慣が変化したに違いないと思う回答が多かったように思います。

 私自身も、外出自粛による運動不足が積み重なり、次第に体重が増えていきました。気持ちが落ち込む日も増えていきました。もともと運動が苦手だったこともあり、忙しさを理由に全く運動をしていなかったのですが、コロナパンデミックの宣言から半年後が経過した頃、「このままではまずい」と思うようになり、ウォーキングと興味があったピラティスを始めました。

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運動がコロナ感染予防にもたらす効果は多数報告がある