※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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自宅での介護が始まると、ケアマネジャーやヘルパーなど、介護のプロとのつきあいが深くなっていきます。介護するあなたや家族が、あるいは介護を受けている親本人が、介護職の働きぶりについて疑問や不満を抱く事態も起きてきます。そんなとき、どのように対処すれば気持ちのよい介護生活を続けることができるのでしょうか。介護アドバイザーの高口光子さんにうかがいました。

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■不満や要望を我慢するのはマイナスに

 自宅での介護では、介護のさまざまな専門職がほぼ毎日、自宅に出入りすることになります。

元気がでる介護研究所代表 高口光子氏
元気がでる介護研究所代表 高口光子氏

 考えてみれば、核家族が当たり前になった現代では、それまで知らなかった他人が自分(親)の家に入って、台所や親の寝室、お風呂場に出入りし、冷蔵庫や戸棚の中まで見るという生活は、介護が始まる前には想像もつかないことだといえるでしょう。都市部ではその傾向は顕著で、家族も介護を受ける親本人も、生活様式の変化に慣れるまで、時間がかかります。

 新たな状況に対する戸惑いが落ち着いて、日常的に介護サービスを受けるようになると、今度は、「洗濯物はこちらが言ったとおりのたたみ方にしてほしい」「もう少しおとうさん(おかあさん)がわかるように説明してほしい」など、担当のヘルパーに対して、具体的な不満や要望が出てくることになります。そしてあなたは、よほどのことでない限り、感じた不満や要望を口にせず、我慢してしまうでしょう。

 しかし、言いたいことを我慢することは、介護において問題だと、私は思っています。

■「ささいなこと」と考えずに話してみる

 親の介護や家事援助のやり方に違和感を覚えたり、疑問や不満が生じたりするのは当たり前のこと。それを、「こんなささいなこと言うと、うるさい家族と思われるのでは」と言わずにおいたことが積もり積もると、「作業が雑でちゃんとやってくれない」「口ではわかりましたと言うけれど、スルーしているのでは」など、少し大きな不満となり、最終的に「このヘルパーの言っていることは本当だろうか、信用できない」と、不信感を抱くことになります。

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高口光子

高口光子

高知医療学院卒業。理学療法士として病院勤務ののち、特別養護老人ホームに介護職として勤務。2002年から医療法人財団百葉の会で法人事務局企画教育推進室室長、生活リハビリ推進室室長を務めるとともに、介護アドバイザーとして活動。介護老人保健施設・鶴舞乃城、星のしずくの立ち上げに参加。22年、理想の介護の追求と実現を考える「髙口光子の元気がでる介護研究所」を設立。介護アドバイザー、理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員。『介護施設で死ぬということ』『認知症介護びっくり日記』『リーダーのためのケア技術論』『介護の毒(ドク)はコドク(孤独)です。』など著書多数。https://genki-kaigo.net/ (元気がでる介護研究所)

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好き嫌いの感情や相性もあいまって