中学受験のレベルも親世代とは様変わりしている。写真はイメージ(PIXTA)
中学受験のレベルも親世代とは様変わりしている。写真はイメージ(PIXTA)

年々過熱する中学受験において、子どもの受験勉強に積極的に関与する父親が増えつつある。育児に積極的な父親が増えるなかで、受験でもわが子をサポートしてあげたいと父親が考えるようになったのも当然の流れかもしれない。その一方で、父親が自身の受験の成功体験を押し付けたり、会社での仕事のやり方を受験勉強に適用させたりすることで、疲弊してしまう子どもがいるという話も多い。そこで、AERA dot.ではさまざまな「中学受験パパ」のケースを取材し、子どもとの最適な関わり方を探った。短期集中連載の第2回は、自身も中学受験経験者で“筑駒”へ入学したという父親に、「自分の時代とは違う」と感じた現状を語ってもらった。

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「私自身、中学受験の経験者。学校生活を通して尊敬できる友人に出会い、カリキュラムや設備といった、学ぶ環境を自ら選ぶことができた。中学受験は挑戦したい学校を自分で選べるところに、非常にメリットがあると感じていました」

 そう語るのは、中学受験を経て筑波大学付属駒場中・高等学校へ進んだ江口さん(仮名)だ。江口さんの息子は現在、小学5年生。小学3年の夏、自身が感じていた中学受験のメリットを息子にも話してみたところ、「やってみる」という答えが返ってきた。

 妻は、中学受験未経験。「反対はしないけれど、勝手がわからない。塾選びも勉強も一任する」というスタンスだ。

「息子も勉強を始めた頃は、『受験をする』ということがどういうことなのかわからなかったと思います。けれど、いまのところ辞めたいと言ったことは一度もないです」

 積極的に息子の受験にかかわることを決めた江口さんだが、自身が中学受験をしたのは、約30年前。今の中学受験界がどうなっているのかを調べつつ、手探り状態から始めた。「実際に塾のカリキュラムや入塾テストの問題を見てみないと何も始まらない」と、小学3年の夏からさまざまな塾の説明会へと足を運んだ。そして、難関校への合格実績に定評がある大手進学塾に入れることを決めた。

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うまくいかなければ「プロセス」を注意する